いざ、世界へ といってもまずは里帰り
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てないくらいに強くなったし。」
「それで母さんの愛刀がないのか。」
「そうよ。
愛紗が村を出る時に渡したの。
今ではこの棒が私の愛刀。」
壁かけられてある木の棒を差して言う。
それを見て何か閃いたのか、母さんは言ってくる。
「縁、一つ手合わせ願うかしら。
どれほど強くなったか見て見たいしね。」
俺の了解を得ずに立ち上がり棒を手に取って家の外に出る。
その時、父さんと視線がぶつかる。
二人して苦笑いをして、家の外に出る。
適当に木の棒を拾って母さんと向かい合う。
母さんは両手でその棒を持ち、対する俺はいつもの構えをとる。
子供の頃とは違った構えに母さんは若干眉をひそめる。
それを父さんは離れた位置で見守る。
(全然隙が見えないわね。
ここまで強くなっているとは。)
「はっっ!!」
その掛け声と共に鋭い突きが俺に襲い掛かる。
それに合わせて俺も前に出る。
それは一瞬で片がついた。
母さんの突きを俺はすれ違うように避けて、そのまま懐に入り棒の先を母さんの首元に当てる。
勝敗はついた。
母さんは息を呑むと、はぁ〜とため息を吐いた。
「完敗よ。
縁、強くなり過ぎ。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
負けたのに母さんは笑顔を浮かべていた。
それを見て父さんは近づいてくる。
「今日は家に泊まるのだろう?」
「そのつもり。」
「なら、久しぶりに唯の手料理を食べられるな。」
「腕によりをかけるから楽しみしなさい。」
そう息込んで母さんは家に戻る。
父さんもその後について行くが俺はついて行かない。
不思議に思った父さんがこちらに振り向く。
「どうした、縁。」
「ちょっと父と母の墓に行ってくるよ。」
「・・・・・分かった。
もうすぐ暗くなるから、冷えてくる前に戻ってくるんだぞ。」
夕暮れ時、俺は父と母の墓の前でしゃがみ手を合わせる。
「俺、王になる。
父と母のような悲劇を防ぐために。」
俺はそれだけ言って立ち上がる。
振り返った瞬間、柔らかい風が俺を通り抜ける。
冬の終わりだが、風は冷たいはずなのにその風は暖かい気がした。
父と母の墓に振り向いて言う。
「行ってきます。」
その後は母さんの久しぶりの手料理を食べて、俺の修行時代の話をした。
雪蓮や桃香や華琳の話や他に様々な話をして、最後に俺は自分の目指している道を告白する。
「俺は王になるよ。
この世界を平和にするために。」
それを聞いても父さんと母さんは驚きはしたが、すぐに笑みを浮かべる。
「頑張りなさい。
私は応援しているわ。」
「もちろん、父さんもな。」
その言葉だけで充分だ
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