第三十七話 川の中での戦いその六
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「力があるからだ」
「成程ね、私達に力があるから」
「何故力があるかは我等も知らない」
何かと襲い掛かって来る彼等にしてもというのだ。
「それはな」
「知らないのね」
「そうだ、我等の知識の中にそれはない」
嘘は言っていなかった、目にそれが出ていた。例え口ではあれこれ言っても目でそれを言うことは難しい。目は口程になのだ。
「それに知ろうとも思わない」
「そういうことなのね、では聞いても無駄ね」
「我々が知っていることは貴様等が力を持っていることだけだ」
まさにそれだけだというのだ。
「その他は知らない」
「そういうことなのね」
「そうだ、しかも興味もない」
力を持つ少女達と戦う、それ以外のことにはというのだ。
「戦い倒すだけだ」
「じゃあ貴方達に何を聞いても無駄ね」
「これまでもそうだったな」
「ええ、これまで何度も戦って話もしてきたけれど」
それでもだった、まさに。
「何もわからなかったわ」
「知らないことを教えることは出来ない」
例えだ、教える気があろうともというのだ。
「そうだな」
「ええ、知ったかぶりは出来てもね」
「だから我等は貴様等にそうしたことは言えない」
「一切なのね」
「その通りだ、ではいいな」
「ええ、それじゃあね」
菫は怪人とのやり取りを終えてだ、その周りにだった。
まずは霧を出した、その幻の霧で場を包みそこから力を使うのだった。
薊は熊の怪人の強力な一撃をかわしつつ反撃を加えていた、しかしその攻撃は怪人の頑丈な身体の前には通じない。
それでだ、薊もなのだった。
「こうなったらな」
「力か」
「使わせてもらうぜ、いいな」
「そうか」
「あんたには普通の攻撃じゃ駄目みたいだからな」
「そう来るか、やはり」
怪人も読んでいる声だった、その目も察しているものだった。
「力を使うか」
「もうわかってるんだな」
「貴様等の強さのもう一つの源だ」
その格闘能力、身体能力も含めたそれと合わせてだ。
「それならばだ」
「使って当然だっていうんだな」
「そうだ、そしてその力でだな」
「ケリをつけさせてもらうぜ」
この戦いの、というのだ。
「今からな」
「よし、ではな」
「消し炭にしてやるぜ」
薊は今も両手に持っている七節棍に紅蓮の炎を宿らせた、そして。
その炎を宿した棒をだ、右手一本に持ち替えてから。
棒を上から下に振り下ろした、その時に棒を伸ばした。七節のそれが普段とは倍以上に伸びて怪人を上から襲った。それはまさに紅蓮の龍だった。
その龍で怪人を撃つ、その一撃を。
怪人は棒を見上げつつ頭上で両腕を交差させてだ、その棒を受け止めた。炎がその両腕を焼くが怪人は致命傷は避けた。
だが、だ。そこでだった。
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