二十九話:俺はあと二回変身を残している
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それに対してコカビエルは涼しげな顔を浮かべ、相手が次は何をしてくるのかを楽しみに待っているありさまだ。
これを見れば誰が見てもコカビエルが優勢だというのが分かるだろう。
「部長、譲渡の力です!」
『Transfer』
「ありがとう、イッセー。これならきっと!」
『赤龍帝の籠手』の二つ目の能力である譲渡を受けて普段の何倍もの大きさの滅びの魔力弾を創り出しコカビエルに撃ちだすリアス。今までの攻撃は誰がなにをやっても効かなかったがこれなら通用すると思っていた。だが現実は非常だった。
「ほう、赤龍帝が一人いるだけで戦略の幅が広がるのだな」
そう感心したように呟くだけで自らを覆い尽くさんばかりの巨大な魔力弾を避けようともしない。それどころか両手を広げて受け止める構えを取り出したのだ。驚くグレモリー眷属達をしり目にコカビエルはその巨大な正面から受け止める。
「ぬ、中々の威力だな。抑え続けるのは少々厳しいか」
「うそ……止めた? しかも素手で…あれは全てを滅ぼす滅びの魔力から出来ているのに…」
呆然とするリアスを気にするでもなく、コカビエルは魔力弾を横に逸らす。
魔力弾はそのままテニスコートに飛んでいき三面あったテニスコート全てを跡形もなく消し飛ばした。ここから分かることは二つだ。リアスの先程の攻撃は決して弱かったわけではないこと。
そしてもう一つは―――それだけの力をもってしてもコカビエルには傷一つ付けられないということだ。その事実に一同は堕天使幹部の実力を思い知らされた。残酷な現実により沈黙に包まれる中でコカビエルはさらに絶望に落とした方が面白いと思いあることを口にする。
それは決して口にしてはならない最大の“タブー”。
「それにしても……聖剣使い共も大変だな。“存在しない”神の為に働くというのは」
「な、なにを言っているの?」
「要するに―――神は既に死んでいるんだよ。当の昔に……戦争の時に魔王共と共にな!」
聖書の神の死……禁じられた事実を言い放つコカビエル。その事実に嘘だとイリナとゼノヴィアは同時に吐き出す。しかしながら、コカビエルは淡々と聖書の神が存在していないがために聖魔剣なるものが生まれたのだと言い、その淡い幻想を打ち砕いていく。
ショックを受けているのは何もイリナとゼノヴィアだけではない。アーシアもフラフラと今にも倒れそうになりながら独り言をつぶやいている。彼女は悪魔になっても未だに神への信仰心を持ち続けていた。それだけ敬虔な信徒である彼女が己の信じていたものが既に存在しないと言われればそのショックは計り知れない。
「神の愛がないなんて……私達はどうすればいいの?」
「私の信じていた物は…
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