二十九話:俺はあと二回変身を残している
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―――人の意志だ!
槍を突きつけるように構えてリドウと向かい合う。……これで終わりにしよう。
「リドウ、俺がお前に引導を渡してやる!」
「はっ! 出来るものならやってみろよ!」
少し調子を取り戻したのかそんな事を言いながら構えるリドウ。
そのままの状態で一瞬とも永劫とも思える静寂が流れる。
そして、ここだと思った瞬間に二人同時に動き出す。
俺は無数の小型の槍をリドウ目掛けて投げつけていき、リドウは赤く巨大な斬撃を飛ばして来る。お互いがお互いの技に当っているがどちらも止まらない。
巨大な槍を手に構え、放たれた弾丸のように一直線に突っ込んでいく俺。
それを迎え撃つように同じように突っ込んで行きながらも回転するように斬りこむリドウ。
「うおおおっ! マター・デストラクトオオオッ!」
「おらぁっ! スパイン・ビュート!」
両者の技がぶつかり合い、凄まじい音が鳴り響く。リドウ、お前は強い。
骸殻だって俺と同じハーフの状態なら力は互角だ。
それなのにどうして―――俺が今お前を押しているか分かるか?
理由なんてたいそうな物じゃないけど、俺がお前より強い理由はちゃんと存在する。
本当に簡単な理由さ、骸殻は人の欲望に、意志に反応する力だ。
それは何も進化の時にだけ発揮されるわけじゃない。骸殻は使用者の意志に応える。
もう分かるだろ、俺がお前より強い理由は一つ―――意志の差だ!
「はああああっ!」
「マジ…かよ…っ。くそおぉぉぉっ!」
リドウの体を槍で貫きそのままの状態で校舎に突っ込んで行き、校舎を破壊しながら止めとばかりにリドウを突き飛ばす。リドウはまるで大砲のような音を立てながらぶつかり校舎の瓦礫の中に消えていく。………これで積年の恨みを果たしたことにしておいてやるよ。
あ、因みにもし壊れた校舎の賠償請求をされたらその時はお前に押し付けるからな。
まあ……死んでいたらコカビエルがやったことにするけどな。
ん? お前が払わないのかだって? 俺が払うわけがないだろ。
これは全部あいつらのせいだ。だから俺は悪くねえ! ルドガーは悪くないですー。
そんな冗談を考えていた時―――
「小猫ちゃあぁぁぁん!?」
イッセーの悲鳴にも似た叫び声が聞こえてきた。
ルドガーとリドウが戦っていた反対側ではグレモリー眷属と聖剣使い達がコカビエルと対峙していた。ここに居る全員には目立った傷は見られない。しかしながら、状況は確実にコカビエルの方が優勢であった。何故そう言えるのかといえば簡単だ。
お互いの表情を見比べてみればいい。戦意は失っていないものの焦りと緊張から額から冷たい汗を流しているグレモリー眷属と聖剣使い達。
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