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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第21話 君が為
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れては?」
自分と志を同じくしてくれている副官がやや物騒なことを口にするがそれに対し彼は仰々しく肩をすくめる。
「おいおい、俺が何処にいたのか忘れたのか?――斯衛の精強さは私が一番知っている、生半可に手を出せばこっちの首が飛ぶだけだ。
それに、こういう人間は我々の計画の後に必要な人間だよ。ただ技術を移転されるだけでは結局、猿真似で終わる。
―――それを咀嚼し、飲み込んで消化し血肉とする人間が必要だ。」
「巌谷中佐は彼がそれに値するとお考えなのでしょうか?」
「ああ、奴は見事に94式と00式、異なる人間の思想と発想を消化し、自らの血肉として融合させることに成功させている―――悔しいが、私にはない才能だよ。」
日本初の国産戦術機、F-4J改 瑞鶴のテストパイロットとして、また大陸派兵の苛烈な前線を潜り抜けた歴戦の猛者たる巌谷。
友である唯依の父、篁 祐唯と伴に多くの国産兵器を手掛けてきた彼は知っている。衛士と技術者の壁を。
それを両立させることの難しさ、それは技術者にして衛士であった唯依の父に見てきたのだから。
「私は何時もそうだ、切り開くのではなくその一歩後を歩むことしかできない。」
かつてF-15イーグルの試験導入の際に、日本はそのアビオニクス・OS・ジェットエンジンなどの戦術機の核心技術に於いて愕然とした差が存在していた。
しかし、だ。技術の差が分かるというのは近しい技術を持っている場合だけなのだ。
技術力そのものが拙い場合は、何がすごいのか如何かさえ判別はつかない。
そして、その技術を自分たちの物とする為、日本帝国は官民一体となって邁進し94式不知火。―――世界に先立っての第三世代戦術機の実戦配備に漕ぎ着けた。
故に、アメリカの技術によって不知火を強化する場合において重要なのはアメリカの技術の優れているところを読み取り、ピンポイントでそれを日本の物として吸収発展出来る観察眼とセンス、貪欲な強さへの欲求という素養なのだ。
それは武道に於いて守破離と呼ばれる物であり、武道を極めるのに必要とされる行程だ。
教えを守り、教えを破り、教えから離れる。
技術を学び、己がモノとして昇華させるのに必要不可欠でありながら、抜けがちな手順にして真髄を彼は既に知っている。
そして、本当の意味の守破離の離、完全にアメリカの技術体系からの脱却は自分には出来ない仕儀だ。
それが、ただの開発衛士……いや、逆に言えば自分の技量を高める事だけで満足してしまった自分の限界なのだ。
「兵士は兵士に過ぎない、技術者もまた技術者に過ぎない―――そう、思っていたのだな。強さへの執念は、そんな壁を簡単にぶち破るか。
最強の衛士足らんとするものは、また最強の戦術機を求める。
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