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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第21話 君が為
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「以上が富士教導隊の戦績となります。」
「如何に後方とはいえ、厚木基地の陽炎乗り(イーグルドライバー)たちは世界的に見ても高レベルの錬度を持つ部隊だ―――それがこうも一方的だとはな。」
自らの副官からの報告を耳にする一人の妙齢の男性士官。
その精鍛な顔立ちの左半分を割る稲妻のような大きな傷を残す彼は所感を重々しく口にする―――不知火の強化改修がとんとん拍子で進むのは良い事ではあるが、己の大義にとっては不都合な事実だった。
「また大伴中佐あたりが反対してきそうですね。」
「ああ、優秀な人間が優秀であるがゆえに仇となる―――よくある話だ、嫌なことにな。」
「では、ではどうしましょう?」
「どうにもならんさ、もう不知火の強化型は完成してしまっている。この事実を覆すことはできない―――不完全とはいえ、今迄にない試みのOSと簡易型武御雷とでもいうべき実機、初手は完敗さ。
それに、不知火U型の実戦配備までは運用検証や技術移転・工場開設を合わせるとどうしても数年はかかる。それまで手をこまねいて前線の兵士を見殺しにするわけにもいかない。」
肩をすくめる男性士官―――不知火乙壱型の改修はよくある段階的能力向上、MSIPSの一つだった。
しかし、不知火壱型甲は違った、試験運用を行ったのが彼が幼少期からよく知る娘だったのが不味かったのか。
壱型甲の外装変化は武御雷を一部参考にされていた。
武御雷の外装の曲線的三次元構造はそれ自体が複雑な空力特性を齎し、それが機体のオペレーション・バイ・ライトが高次元で制御することで高効率稼働と高い運動性能の両立を可能としていた。
当然、その武御雷を操る彼女の要求仕様は、武御雷が基準になりやすく不知火に量産性などを維持したままで不知火を武御雷に近づける方向性となる。
それは本来、至難の業だ。それをこうも容易くやってくれるとは、頼もしくもあるが男の政治的要素を含める目的に於いては障害でもある。
「―――今は情報部の動きを知られるわけにはいかん…が、この状態で押し通すとなると苦しい戦いにはなるが、リスクマネジメントや発展性の観念から見ても彼と壱型甲の存在は我々にとっても歓迎すべき存在だよ。」
「それに計画は既に動き出していますし、いくらなんでも大伴中佐を初めとした国粋主義派でも、一方的な契約打ち切りという破廉恥な真似はしないのではないでしょうか?」
「どうだろうな……参謀本部直属という奴の肩書は伊達ではない。それに――私とて、彼らのアメリカ不信の気持ちは良くわかる。
だが今回のこの取引は日本にとって、この上なく破格だ。アメリカの方針転化も後押しをしてくれている―――この機を逃せば、将来的日本は国際社会で窮地に立たされるだろう。」
「となると、彼の排除も視野にい
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