第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
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つまり、この刀が『国宝』とされる名匠の作かと聞いての事。思
本来ならば博物館に収蔵されていなければならないもの。しかも、真贋など不明なのだから。
「一介の学生が、ンなもン持ってる訳無いだろ?」
「……それもそうですね、愚問でした」
「そんな事より、アンタらの事だ。俺の事はどうすんだ? やっぱり、殺すかい?」
なので、茶を濁して切り抜ける事として。打ち粉を刃に振り、拭い取り。極めて薄く、油を引きながら。口調の割に、実は気になっていた事を一つ問うてみる。
「別にそれは私たちの仕事には含まれていませんから、知りません。まぁ、貴方がどうしても殺されたいのなら別ですが」
「そっちから殺しに来といて……まぁ、だったらいいけど。ようやく枕を高くして眠れる」
「『悪い奴程、よく眠る』ですか? 吸血鬼の寝座は、棺桶だと思っていたのに」
そして聞いた、あの堅物の火織の冗談を。そして見た、あの火織の朗らかなその表情を。まるで憑き物が落ちたかのような、優しげな笑顔を。そんな顔が出来るなど想像もしていなかったから、呆気に取られて。
それに苦笑しつつ、手入れを終えて。長谷部を鞘に納めて、虚空に突っ込むように消して立ち上がる。感傷を振り払うかのように。
深入りするべきでもない。これは、非日常なのだ。早く、元の日常に戻らなければ。
「いいな、お前ら。明日の朝までだ、俺は明日の朝から風紀委員の仕事があるんだからな。それまでに出てけ」
「そんなに念を押されなくても分かっているさ、今日一晩で出ていくとも」
「俺も補修あるしな……ところで……」
「……何だ、その物欲しそうな顔は?」
辟易しながらの言葉に煙草を吹かしながら答えたステイルと、苦笑いしながら答えた当麻は……カレーをモリモリ食っている市媛の方を眺めて、腹を鳴らす。
「腹、減っちゃってさ……カレーとか貰えないかな〜、とか」
「一皿千円。小盛りで」
「高っ?! じゃあ大盛りでお代わりするといくらだよ!」
「嫌なら外に食いに行けよ。落第生なら分けてくれんじゃねぇの?」
「それはつまり、上条さんに身包み剥がされてこいと仰ってるんですかね、嚆矢さんは?」
ごく自然にぼったくる、そんな彼の学ランの裾を引く少女が一人。やはり、盛大に腹の虫を鳴かせながら。
因みにそのカレーは家主作。世にも珍しい、黒い山羊肉のカレーである。嚆矢も最初は抵抗があったが、今はもうこれ以外の肉は味気無いと感じるくらいの滋味、そして美味だ。
「こーじ……お腹すいたんだよ」
うるうると捨てられる仔犬のように瞳を潤ませ、物欲しそうに口許に人差
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