空白期 中学編 05 「考えるなのは」
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それどころか不意に顔を俯かせると、ポツリと一言だがとんでもないことを呟いた。
「……可哀想に」
「何が可哀想なの!? 私は、ううん私だけじゃない。フェイトちゃんもきっと恋人は普通に男の子にするよ!」
不意に脳裏にひとりの影が浮かぶ。
無愛想に見えるけど周囲に気を配っていて、必要なときはそっと手を差し伸ばしてくれる。運動も勉強もできて、家事も得意で……お菓子作りが趣味の男の子。私が辛い日々を送っていた時期、誰よりも足を運んでくれて励ましてくれて、見守ってくれた私の大切な友達……。
友達……うん、友達だよね。今では下の名前で呼んでくれるようになったし……なのに、何でどことなく胸が苦しいんだろう。
「何やら考え事をしているようですが、とりあえず座ったらどうですか?」
「え……もっと早く言ってよ!」
「今日はあなたが自爆したようなものでしょう。やれやれ、あなたは昔とあまり変わりませんね。成長がありませんね」
「意味合い一緒なんだから言わなくていいじゃん!」
シュテルと会った頃より成長してるもん。身長だって大分伸びたし、体つきだって女の子らしくなったんだから。……他のみんなと比べると胸は小さいけど。でも私はまだ中学生。きっとこれからだよね。
「それに私が成長してないのなら、シュテルだって成長してないと思うよ。相変わらず人のことからかうし」
「失礼、先ほど言い忘れてましたが人をからかうのは私の趣味です」
「そんな趣味今すぐ捨てようよ!」
「大丈夫です。人は選んでますから」
「時もきちんと選ぼうね! じゃなくて、自分がやられて嫌なことは人にしちゃダメだよ!」
私の必死な言葉にもシュテルは顔色ひとつ変えない。それどころか、興味はないと言わないばかりに優雅に紅茶を飲む始末。肩で息をしている私がバカみたいではないか。
「あのな、他にも客はいるんだからもう少し静かにしろよ」
突如聞こえてきた低い呆れた声。もちろん私でもなければ、目の前にいるシュテルでもない。声がしたほうに視線を向けてみると、そこに立っていたのは私服姿のショウくんだった。
「ショ、ショウくん……な、何で!?」
「何でって……シュテルに呼ばれてたからだけど」
視線でシュテルに問いかけてみたが、静かに紅茶を飲んでいた。先ほどまでのやりとりを見られていたかと思うと恥ずかしさがこみ上げてくるだけに、彼女に対して何か言いたくなってくる。
だがしかし、今日に関しては自分のほうにも非があるわけで……。あれこれ考えているうちにショウくんはシュテルの近くに腰を下ろした。私も自然と腰を下ろしそうになったが、不意にあることに気が付く。
ショウくんはシュテルに呼ばれてたわけなんだよね……つまりシュテルはショウくんに話があるってこと。他に
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