空白期 中学編 05 「考えるなのは」
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練習というか作ってた結果、お店でも売れるくらいに美味しいお菓子を作れるんだよ。それと同じくらいって……。
人から間違われるほど似た顔立ちや声、体型をしているというのにこの差は何なのだろう。私はパティシエの娘だというのに、作れるものなんてキャラメルミルクくらい……。
……分かってた、自分よりシュテルのほうが器用で何でもできそうだなってのは分かってたけど。
でもでも、あのシュテルがお菓子作りだよ。しかもショウくんと同じくらいのレベルだって言うんだよ。シュテルってディアーチェ達からの話では、昔は本の虫で女の子らしいことにほとんど興味がなかったって言われるほどの人物だったんだよ。それが今ではこれなんだよ……。
「その疑いと驚愕が混じった視線は何ですか?」
「え……いや、その……シュテルに趣味にするほどお菓子を作るイメージがないといいますか」
「ふむ……確かに過去の私からすれば今の私は疑問と驚愕の対象かもしれませんね。……でも今の自分に悪い気はしません。これもショウのおかげですね」
シュテルの最後の発した言葉はいつもと変わらない淡々としたものだったが、彼女の顔には確かな笑みがあった。
……シュテルって……今みたいに笑うんだ。
シュテルも人間であり感情もあるのだから笑いはする。これは知り合ってから今までに何度か見たことがあるので間違いない。
だけど……今の笑顔は今までに見たのとは少し違ったような気がする。具体的にどうのとは言えないけど……こうなんていうか……綺麗? うーん、何か違うかな。綺麗は綺麗なんだけど輝いて見えるというか……
「なのは?」
「え、あっ、素敵な笑顔だったよ!?」
「……何を言っているのですか?」
シュテルの言うとおり、私は何言っちゃってるの! 冷静に考えれば、私が黙ってたから呼びかけただけじゃん。それなのにテンパって……あぁもう、穴があるなら入りたいよ。
「今日のあなたはいつにも増して変ですよ。趣味を聞いてきたり、笑顔が素敵などと言ったり……もしかして、私のこと口説いてますか?」
「ない! それはないから!」
確かに口説いてるように思われるかもしれないけど、でも私は女の子だしシュテルに恋愛感情とかないからね。
「本当ですか?」
「本当だよ……何でそんなに疑いの眼差しなの!?」
「何でって……あなたはたまにフェイトと熱烈に見詰め合っていたではありませんか。甘い雰囲気を出しながら」
「たたた確かにフェ、フェイトちゃんとは想いが通じ合うというか、分かち合った時間みたいなのはあるけれども……でもでも、フェイトちゃんとは変な関係じゃないから! 親友だから!」
抱いている感情を全力全開でシュテルにぶつけてみたのだが、彼女の瞳は全く私を信用しているようには見えなかった。
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