空白期 中学編 05 「考えるなのは」
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色の瞳が私に向けられる。
「な、何?」
「何? あなたが構ってほしそうな目で見ていたではありませんか」
「べべ別にそんな目で見てないよ!?」
否定はしてみたものの、これほど動揺しながら発した言葉を誰が信じてくれるのだろうか。恥ずかしさから俯いてしまったものの、空気を切り替えるように店員が頼んでいたものを持ってきてくれた。ついでと言わんばかりにシュテルは再度紅茶を注文する。
「……なのは」
「は、はい!?」
「話をするつもりがないのなら、私は読書を再開しますよ」
私はシュテルの言葉に驚く。前までなら確実に「私に構ってほしかったんですか?」などとからかわれていたはずだ。それなのに今はどうだろう。何もからかいもせず、自分から会話してくれようとするなんて……これくらいのことで驚くなんて、私って意外とシュテルに対してフィルタが掛かってるのかな。
「え、えーと……じゃあご趣味は?」
「……あなた熱でもあるのですか?」
だよね! 普通に考えてそういう返しがくるよね!
もう知り合ってから3年にもなるのに今さら聞くことじゃない。それに聞き方がお見合いみたいだった……お見合いなんてやったことないから本当かどうかは分かんないけど。というか、そもそも私達女の子同士だし。
「まあ……あなたの百面相に免じてこれ以上は追求せずに答えてあげますよ」
「ありがとう、でも百面相あたりでダメージあるから言わないでほしかったよ!」
「今は私が話そうとしているのです。そして質問してきたのはあなた……何が言いたいか言わなくても分かりますね?」
はい……分かります。それに反省します。だからそんなに冷たい目を向けないで。向けるにしても、もう少し声を温かくしてほしいよ。
「私の趣味ですが……そうですね、職業柄機械を弄ってしまいがちですね。それと読書……あとはお菓子作りといったところでしょうか」
……今お菓子作りって言った?
機械弄りや読書は前々から分かっていたというか、予想できていた答えではあるけど、お菓子作りに関しては初耳だ。料理の手伝いをしていたりする姿は見たことがあるので出来ないということはないと思うけど、シュテルがひとりで作っている姿は想像が難しい。
「何ですかその顔は?」
「あ、いや……その、シュテルってお菓子作れるの?」
「ええ」
「ちなみにどれくらい?」
「そうですね……まあショウと同じくらいには」
ショウくんと同じくらい。その言葉を聞いた瞬間、私の心の中に亀裂が入ったような音が聞こえた気がした。
え……ショウくんってあのショウくんだよね。いやまぁ、私とシュテルの共通認識のあるショウくんってあのショウくんしかいないんだけど。
でもあのショウくんだよ。昔からお母さんから習って
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