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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第6話「虻も取らず蜂に刺される」
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大な蜂を殺すのと同じ脅威だ。
 ただし、これには相当な負担(リスク)がかかる。
「けど、あれだけのスタンドを取り込んだんだ。そろそろ限界だろ」
「お見通しか」
 今度は双葉が苦笑した。
 スタンドを取り込むのは、別の意識を無理やり頭の中に押しこめ圧迫され続けること。数百のスタンドという重荷がのしかかった意識は、いつ潰されてもおかしくない。
 ゆえに大量のスタンドを取り込んだ長期の閣下化は、命の危険に及ぶ。
「そこまでしてアイツらを守りたいか」
「駄メガネ共のことなど知ったことじゃないな」
「ならそんなに仙望郷(ここ)が欲しいのかい」
「遺物の残骸に用はない」
「じゃあ何がしたい」と未だに双葉の真意が見えず、お岩は半ば汗ばんだ声を吐く。
 対する双葉はフッと軽く鼻を鳴らした。
「貴様が旅館を牛耳ろうが、駄メガネ共をこき使おうが、興味ないな」
 双葉は冷徹に言い放った。
 そして。
「だがな――」
 跳躍。
 一気に間合いをなくし、お岩にしか届かない声で―されど力強く―双葉は言った。
「兄者に手を出すのは断じて許さん」


 双葉の拳が食いこんだお岩の顔面はありえないくらい歪み、そのまま卒倒してもおかしくなった。
 だが歪な表情は、突如不敵な微笑に変化する。
 跳躍により空中浮遊する双葉の身体は、何の防御もなく完全に隙だらけ。
 それを見逃すはずもなく、お岩は巨大な拳で双葉を鷲掴みした。
「捕まえた!さっきは油断したけど、もう容赦しないよ!」
 バキバキバキバキ――そんな音が聞こえてきそうなくらい、お岩の手は双葉を締めつけていく。まるで捕えた獲物を決して逃さまいと巻きつく大蛇のように。
「フゥ!」
「近づくんじゃないよ」
 駆けつけようとした銀時たちだったが、双葉を握りしめた拳を見せつられ足が止まってしまう。下手に動けば双葉は即握りつぶされるだろう。
 その場に立ち尽くす銀時たちを眺めたお岩は、拳の中に捕えた双葉へ向き直る。
「さぁ、返してもらおうかね!スタンドを束にして噛みついてきたことは褒めてやる。けどね、私とTAGOSAKUはそんな寄せ集めの力で殺られるようなタマじゃないよ!!」
 数百のスタンドの霊力とはいえ、所詮は下級霊(ザコ)の集合体。数千の蟻の大群も人間の手が加われば一振りで散ってしまう。
 それに元々は自分が牛耳っていたスタンドたち。手元に戻すなど容易いこと。
 少なくともお岩はそう考えていた。
「……くっ」
 双葉の口からもれる小さな声。
 それが締めつけられる苦痛で呻いているのだと、お岩を含めた誰もがそう思った。
「……クッフフフフ」
 だが彼女に浮かぶのは――微笑。
 白塗りの顔に刻まれた揺るがない笑みは、お岩にある種の恐怖を感じさせる。
「ありがとな。遠ざ
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