第6話「虻も取らず蜂に刺される」
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のは、この私に楯突くことだぞ!」
爆音。
双葉の手から放たれたのは、圧縮された空気の塊。それは巨大な蒼い光弾へ変貌し、お岩を吹き飛ばした。
直撃はしたもののお岩はとっさに身を丸め、床をずり滑ることで横転してしまうのを回避する。
だがまだ油断できない。
次の攻撃が来るよりも速く反撃しなければ、こちらが完全に不利になってしまう。
そうして見開いたお岩の瞳に飛びこんできたのは――余裕に満ちた閣下の笑顔。
「さぁ!お楽しみを始めよう!!」
目前に迫った双葉がお岩の顔面を殴ったのは次の瞬間だった。
一発、二発、三発、パンチの連打が腹部を直撃。
顎に突き上げる痛みを繰り出す足からのアッパーカット。
頭上に激痛を降下するかかと落とし。
直後、お岩の頭は轟音と共に木の破片をまき散らして床にのめりこんだ。
『圧勝』。
その単語通り、双葉は完全にお岩を押していた。
体格の差からして巨大な図体のお岩が断然有利のはず。
だが双葉の攻撃は確実にお岩にダメージを与えていた。まるで攻撃の一つ一つに強大な力が宿っているかのように。
――おかしい!こんな小娘がどうして……!?
確かに双葉にも霊感はあった。しかしこれほどまで強力なものではなかったはずだ。
――いいや、それ以前に誰を憑依させた?
レイも三人の生霊も、お岩と双葉の攻防に目を丸くして見ている。銀時の意識が双葉に憑依したかと思ったが、彼もまた生身の身体で戦いに釘づけになっている。
仮にこの場にいる奴ら以外だったとしても、TAGOSAKUに勝てるスタンドはこの仙望郷にはいないはずだ。いや、この世界のどこにも……。
「――!?」
静かだ。
旅館の中が静か過ぎる。数百といるスタンドたちの姿がどこにも見当たらない。
霊気さえ……いや、霊気はある。戦うのに夢中で忘れていたが、お岩は再び感じとる。
仙望郷のスタンドたちの霊気が沸き上がってくるのを。
容赦なく攻撃を放つ目の前の――小娘の身体から。
――まさかこの女……!
お岩のある推測が確信に達した瞬間、女将の巨体が大きく舞い上がった。
真っ白な雪に覆われた仙望郷の庭に青白い光が炸裂する。その直後には巨大な物体が勢いよく横転し、純白の絨毯を荒削りした。
ほぼ観戦状態の銀時とレイたちが急いで庭へ駆け出す。そこにはお岩と双葉が距離を置いて対峙していた。
「この私がここまでコケにされるとわね」
「塵も積もれば山となる、だろ」
なるほどね、とお岩は苦笑した。
細身の体躯から沸いてくる重厚な霊気から女将は察した。双葉が仙望郷全てのスタンドを取り込んだ事を。
確かに数百のスタンドを一つに固めた霊力なら、お岩に圧勝できるだろう。蟻の大群が遥かに巨
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