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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
圏内事件
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した暁には、何故か被害者であるはずのマサキが「アインクラッド(以下略)を自宅に連れ込んでいるジゴロプレイヤー」とのあだ名を頂戴することになる。つくづく、美人とは得な生き物である。

 はあ、ともう一度溜息。情報流出の可能性が最も高い某情報屋に関しては、一応本人が「デマとゴシップは売らない主義だゾ」と公言しているため、そこから世間に漏れることはないと考えていい。が、それでも彼女の個人的興趣の対象となることはまず間違いないわけで、マサキとしては出来るだけ早く彼女と疎遠になり、後は何を言われようと知らぬ存ぜぬを貫きたい。
 幸いにもと言うべきか、マサキと唯一親交と呼べる関係を構築していた者は既に三途の川を渡りきっている。風の噂などマサキにとって道端の小石のようなものだし、彼女の性格的に、いくら自分が袖にされたからと言って、逆恨みしてこの家の場所を言いふらすようなことはしないだろう。となれば、これからは多少強引にでも彼女を追い返すべきか……。

 と、ここまでの考えを食事と平行してまとめたマサキは、続いてその方法の検討に入ろうとする。
 そんな時だった。

「……ん?」

 視界の端に、メッセージ受信を表すアイコンが点滅した。現在メッセージのやりとりが可能なフレンドはアルゴ一人のマサキがメッセージを受け取るという場合は、二つほど考えられる。即ち、マサキを知っている人物が、同じ階層にいる時限定でインスタントメッセージを送った場合と、アルゴがマサキに向けてメッセージを送った場合だ。だが今回は、そのどちらでもなかった。
 厳密に言えば、直接のメッセージ送信元がアルゴであるため、後者の亜種のようなものだろう。だが、アルゴは今回、別人物からの依頼でメッセージを転送しただけなのだ。それほどのことをしてでも相手はマサキにメッセージを届けたかったということらしい。

 転送されてきた文書に目を通すと、メッセージの送信元はキリトだった。五十層のフロアボス戦の前日に話して以来、言葉を交わすことさえ稀だった彼が、一体何の用なのだろうか、と訝しみながら文を読み進めていく。

「《圏内PK》……?」

 そして、一つの不吉な単語にマサキの目が釘付けになった。どうやらそこだけ声に出てしまっていたようで、対面のエミが疑問の表情を浮かべてマサキの顔を見やる。しまった、と顔を苦そうに歪めたのも束の間、マサキは先ほどまでの思考を頭の隅に追いやり、いつの間にか残り一口となっていたハンバーグを急いで口に放り込むと、

「適当なところで帰っておいてくれ」
「え? あ、ちょ、マサキ君!?」

 というやりとりを最後に、キリトの指示にあった第五十層主街区《アルゲード》に向かったのであった。



「ほぉ……」
「へぇ……」
「ふぅん……」

 上記の反
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