第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
誰かの記憶:深い霧の中で
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得る。それに何より、視界の狭いここで混戦となったとき、増援のエルフに包囲されるようなことがあれば全滅は免れない。ただでさえ壁役のニオはその防御の要としていたタワーシールドを失っているのだ。私を助けるために無用なリスクを冒してほしくはない。
「レイ、リゼル、ニオ………お願い、逃げて………」
怖くないと言ったら、嘘になる。
離れていく三人の背中が霧と光に飲み込まれていくのが堪らなく怖い。
このまま死を受け入れなければならない運命がどうしようもなく怖い。
いつかあの三人が後に私を見殺しにしたと自分たちを責めそうで怖い。
――――でも、仲間達が死んでしまう方が、どうしても耐えられない。
「………みんな、死んだら許さないから」
右足首を穿っていた矢を引き抜き、無理矢理立ち上がろうとするも膝下は完全に感覚がないことに気付く。矢に毒が塗ってあったのか、それとも被弾した箇所が悪かったのか、何れにしても復帰までは時間も掛かるだろうし、このまま逃げるのは困難だろう。森への出口に背を向け、辛うじて膝立ちになり、転がってしまった愛剣《アニールブレード》を拾って構え………そして、目が合った。
――――次の瞬間、霧を切り裂いて現れた影が私の視界を覆った………
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