アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第十二話 裏切り騎士
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
なぁ・・・・・」
そうつぶやくとクラディールは鼻筋にしわを寄せながら振りかざしていた大剣をキリトの右腕につきたてた。そして、そのままこじるように二、三度回転させた。剣がキリトの腕をえぐるたびにHPが確実に減っていく。毒が消えるのを待つキリトだが無慈悲にも毒が抜けるまでもう少し時間がかかってしまう。そうしている間にもクラディールによってダメージは加算されていく。
「どうよ・・・どうなんだよ・・・・。もうすぐ死ぬってどんなかんじなんだよ・・・。教えてくれよ・・・なぁ・・・」
クラディールはキリトに話しかけるがキリトがそれに応じる様子はない。
「おいおい、何とか言ってくれよぉ。ホントに死んじまうぞォ?」
クラディールの剣が腕から引き抜かれ、今度は腹につきたてられた。腕よりも被ダメージが大きく、とうとうHPが危険ゾーンにまで達してしまった。しかし、キリトは先ほどのようにあきらめた様子はなく、腹に突き刺さっている剣の刀身をかろうじて動く左腕でつかみ、そのまま力を振り絞り引き抜こうとするが、剣先は確実な速度で下降しはじめる。必死に抗うキリトだが刀身は少しづつ確実にもぐりこんでいく。
「死ね――――ッ!!死ねェェェ――――――ッ!!」
金切り声でクラディールが絶叫した時、白と赤の色彩を持った一陣の風が吹いた。
「な・・・・・ど・・・・・!?」
驚愕の叫びと共に顔を上げた直後、クラディールは健吾と跳ね飛ばされた。
「・・・間に合った・・・間に合ったよ・・・神様・・・間に合った・・・」
震える声でつぶやき、崩れるようにひざまずいたアスナは目をいっぱいに見開いて唇をわななかせながらキリトとルナを見た。
「生きてる・・・生きてるよねキリト君、ルナ・・・」
「・・・・・ああ・・・・・生きてるよ・・・・・」
「・・・・・私も、なんとか・・・・・」
弱弱しくかすれた声で答える二人にアスナは頷くと、ポケットからピンク色の結晶を取り出しキリトを回復させた。それを確認するとキリトとルナに一言ささやてから細剣を抜きながらクラディールが倒れているほうへと歩き出す。向かう先ではクラディールは体を起こし、自分に近づいてくる人物を見て両目を丸くした。
「あ、アスナ様・・・ど、どうしてここに・・・。い、いや、これは、訓練、そう、訓練でちょっと事故が・・・、ぶふぁ」
必死に言い訳を募るがその言葉が最後まで続くことはアスナの右腕が閃き、クラディールの口を引き裂くことでなくなった。クラディールは口を抑え込みながら仰け反る。一瞬動作をやめ顔を戻すと、そこには憎悪の色が強く浮かんだ顔があった。
「このアマァ・・・調子に乗りやがって・・・。ケッ、ちょうどいいや、どうせオメェもすぐに殺してやろうと・・・」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ