第4部 誓約の水精霊
第4章 惚れ薬
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ウルキオラはいつもの椅子に腰かけ、本を読んでいた。
ベッドの上に視線を移す。
昨晩、散々泣きはらしたルイズは疲れたらしく、部屋に帰ってくるなりすぐに寝付いてしまったのである。
あどけない顔で、くーくーと寝息を立てている。
昨日の変わりよう、いったい何事だ?
怒りの矛先を受け止めようとした瞬間、いきなり『どうして私を見てくれないのよ!』と泣き出した。
目覚めたらしい。
ルイズはむっくり起き上がると、ウルキオラの顔を見て、唇を噛んだ。
それから絞り出すような声で、「なんで椅子に座ってるの」と言った。
「俺に睡眠は必要ない」
と、ウルキオラは何回目になるかわからない返事を返した。
それからルイズは顔を赤らめた。
「それでも隣にいてほしい…」
ルイズは聞き取れないような弱弱しい声で言った。
ウルキオラを見ると、ふにゃっと唇を歪めた。
それから、何か言いたそうにもじもじし始めた。
「なんだ?」
「あのね」
泣きそうな声で、ルイズが口を開いた。
「あのねあのねあのね、あのね?」
やはりルイズは変だ。
こちらの様子を伺っているような目つきでウルキオラをじっと見つめている。
いつもはウルキオラをこんな目で見ない。
「どうした?変だぞ、ルイズ」
ウルキオラはルイズの目を覗き込んだ。
ルイズは、もぞもぞとベッドから立ち上がると、ウルキオラの右手を掴んだ。
超速再生能力で、既に傷は治っていた。
「痛い?」
「別に」
「怒ってる?」
「別に」
ウルキオラはいつものように、冷たい態度をとった。
ルイズはウルキオラの右手を離した。
そして、ウルキオラの膝の上にちょこんと座った。
予期せぬ攻撃である。
ウルキオラはどけ、と言おうとしたが、それが無意味だということを悟った。
「見たの」
「何をだ」
「…昨日、夢を見たの」
夢?
「なんの夢だ?」
「ウルキオラの夢」
「どんなだ」
「ウルキオラが夢の中で意地悪するの。私が一生懸命に話しかけてるのに、他の女の子と話してる」
そう言うと、ルイズはウルキオラの左手をがぶっと噛んだ。
痛みはない。
ルイズは甘く噛んだだけだ。
まあ、本気で噛みついてきても、痛みはないのだが。
それから体を反転させて、ウルキオラに向き直った。
「昨日だってそうよ。他の女の子と一緒にいないで。他の女の子見ないで。あなたにはご主人様がいるでしょう?」
ウルキオラは目を見開いた。
なんだ…何が起きている?
困惑せざるおえなかった。
ルイズの態度は引っかかる。
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