第17話〜破滅の王〜
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ら口を開く。
「君の階級を訊いてもいいか?」
「・・・元中尉、だよ」
「もう一つ確認しておきたいんだが、君が・・・破滅の王(ルインモナーク)、なのか?」
「・・・あぁ。その名の方が場合によっては通りがいいかな・・・良い意味でも、悪い意味でも」
自分が賜った“名前”については、実習が一緒であったメンバーズには気づかれていると思っていたケインがそれについて驚くことは無かった。しかし、はっとして顔を見てくるリィンやラウラには驚いている。
「ふむ、その破滅の王とは聞いたことがないな」
一方で、帝国とは遠く異郷の地の留学生、ガイウスには覚えのない名前のようだ。マキアスはアイコンタクトで「話してやったらどうだ?」と問いかけるが、ケインは肩をすくめて見せる。自分がどのような評価を受けているかなど、案外当人には分からないものだからだ。ケインにとってもそれは当てはまった。そんな彼の反応に呆れのため息をついたマキアスは、眼鏡のブリッジを押し上げる。
「破滅の王。正規軍の中でも最精鋭と言える鉄道憲兵隊の中で、最年少かつ最強の兵士。クレア・リーヴェルト大尉の指揮下において、数多くの作戦行動を成功に導いたそうだ。年不相応で圧倒的な力は大陸を滅ぼすとも噂され、貴族派からは当然警戒されている・・・中には、拳一つで触れもせずに装甲車を吹っ飛ばしたという逸話まで聞いているんだが?」
最後のほうでさらっと語られたケインの武勇伝に他のメンバーが目を丸くし、
「否定はしないんだけど・・・種明かしをすると、拳で地面にクレーターを作って、その衝撃波で装甲車が飛んでいったっていうのが正しい表現かな」
「いや、拳ひとつでクレーター作れるのがすでに異常だからな」
「そ、そうだよ!」
「え・・・」
あーなんか尾ひれが付いてるなーといった感じでケインが真面目に種明かしをするも、それは驚きを大きくするだけだった。リィンやエリオットにはもはや異常扱いされてしまっている。
「ふむ・・・てっきりこの年代の帝国男子はみな拳でクレーターを作れるはずだとオレは思っていたんだが」
「ケインを基準に考えないで!そんなの、僕たちには無理だから!」
ケイン=帝国男子のアベレージと未だに盲信するガイウスに、エリオットが抗議を申し立て、リィンやマキアスは全力でうんうん頷いている。ユーシスは呆れているようだ。
「?何を言う?拳一つあればクレーターなど量産できるだろうに」
「そうだよな!さすがアレス!ほら、やっぱり俺は異常じゃないんだよ」
「だったら君たちが異常なんだろう・・・」
東方の武術である泰斗流の達人、アレスには朝飯前だろうとケインは納得し、自分は正常だと改めて考えるも、今度は両者が異常だとの判決が下される。
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