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101番目の舶ィ語
第五話。異世界にある村
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を取り出してみた。

「さっきは赤く光って熱もあったけど、今はなんともないな」

「危険は無いっていう事かもしれませんが……魔女の時も反応薄かったですからね」

だから油断は出来ませんよ……という声が聞こえた気がした。

「今思えば、誰かさんの時が一番怖かったよ」

「私ったら最恐ですからね」

「得意げだなあ」

最強じゃなくて、最恐という辺り都市伝説っぽい感じがするね。
それにしても______村かぁ。
山の中に作られた小さな村。隣家までの距離は遠く、砂利の道が続いていて夜が近いからか、街灯には灯りが灯っているが、光が当たらない大部分は闇に覆われている。
周囲にある広大な土地は一見すると田園地帯のようだが、田んぼや畑に利用されるわけでもなく放置されている空き地も数多く存在しており目立っている。
過疎化している事を除けば平和なド田舎。
それが今俺達がいる場所だ。
ここが噂の『人喰い村』だなんて、いまいち信じられないな。

「ん?」

しかし……何故だろう?
なんとなく、辺りの光景にデシャヴ……既視感を覚えた。
俺はどこかで、この風景を見た事がある。いや、そんなはずは……。
それとも一文字が……俺が知らないだけで似たような場所に行った事でもあるのだろうか?

「どうかしましたか?」

首を傾げて不思議そうに、一之江が尋ねてきた。

「いや……なんかデシャヴを感じたんだ、この風景に」

「あ、あたしもなんか……見覚えあるような、ないような……」

おずおずと挙手しながら音央も告げる。
まだ戸惑いが強いのか、仕草は控えめで。

「ふむ?」

改めて辺りを見回した一之江だが、やがて首を傾げた。
その様子から察すると、彼女には見覚えがないらしい。

「ねえ、モンジ?」

「ん?」

「本当にここって、怖い村なのかな?」

一之江の手を握りつつ、釈然としない顔をして音央が言った。
見覚えがある、というのもあるだろうが……確かに、今の俺は恐怖よりも長閑さ(のどかさ)を感じてしまっている。

「まだ解らないね。だけど……今すぐ危険っていうわけでは無いみたいだよ」

「ん……そう、ね……」

そう返事をしつつ、辺りを見回しながら音央は首を傾げていた。
もしかしたら見覚えがある、という感情が一時的に恐怖を和らげているのかもしれないしな。

「で、村に入りましたが、これからどうしますか?」

一之江は再び俺の顔を見て尋ねてきた。
あくまで決定権は俺にある、という事か。

「そうだね。まずは本当に出られないかどうか調べてみよう」

俺達がここに来た理由は『ロア』を調査すること。
だけど……。

「それから、どうするつもりですか?」


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