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さやかちゃん救済的な話?
プロローグ
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誤魔化せない。

 どうしても自分中心に考えちゃう。そんな自分が許せない・・・

 結局あたしは、一体何が大切で何を守ろうとしていたのか・・・

 もう何もかも訳分かんなくなっちゃった・・・・」


そう云いながらさやかが差し出したのは真っ黒に変色した自分のソウルジェムだった。


「ほら・・・ソウルジェム。こんなに真っ黒になっちゃった。

 もう、魔法は使えない・・・あたし何か・・・居ない方が良いよね?」

「おい・・さやか・・何でお前のソウルジェムがグリーフシードに・・・」

「やっぱりこれ・・・グリーフシードだったんだ。あたし、やっぱり化け物だったんだね」


驚く杏子を見ながらさやかは最後の声を振り絞った。


「あたしって・・ホント馬鹿」


零れ落ちた涙がソウルジェムに落ちた瞬間。

それまで緩やかだった自分の内部の変貌が一気に加速したのを感じた。

(ああ、やっぱりそうだったんだ。あたしは魔法少女じゃ無くて魔女だったんだ)

変貌が加速するにつれて、意識が遠くなって行く。

いつの間にか自分が居るのは駅のホームでは無く、見知らぬ劇場に変わっていた。

さやかは特に驚く事もなく、身近な客席に座り遠くなっていく意識に合わせて目を閉じようとした。

次の瞬間


「・・・、誰?」


見知らぬ何かが自分顔を覗き込んでいる事に気が付いた。


「あれ、オレが見えるの?・・・そうか。アンタも、怪物になっちまったんだな」


異様な風体のソレは、初めて聞いた声で馴れ馴れしく笑いかけて来た。

異様な風体の少年。全身に隙間無く刻まれた入れ墨の様な物。

公務員所か、アレでは民間企業でも雇っては貰えないはずだ。

だが、さやかはソレの風体よりもソレの表情が気になった。

ニヤついた口、あざ笑う目。・・・無性に腹が立つ。

もし、彼女の体が通常営業ならすぐさま飛びついて顔を殴りつけるほどに。


「あーー・・・いや、ちょっと違うか。アンタはそんなスッキリしたモンじゃ無い。

 アンタ、自分が何物か自覚はある?」


自覚?覚悟は無いが事実としては認められる。

ついさっき気付いた事ではあるが、これから魔法少女だった彼女は消滅し魔女へと変貌し

怪物へと成り果てる・・・それだけの事だ。


「なるほど、潔い。けど、アンタは怪物の定義を知らなさそうだなぁ。

 分かってるか?ソレは生きる為に人を襲うんじゃなく、人を襲う為に生きる生き物だ。

 人間社会を真っ向から・・・端から端まで否定する殺戮機構。

 ただ居るだけで害悪になる毒。それが怪物ってもんなんだが・・・それが自分だって言い切れる?」



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