紅霧異変
Part13 充電切れなんて無かったんや……
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張っていく。
「流石は博麗の巫女ね。でも……」
含みのある笑みを浮かべながら、レミリアは片手を上空に掲げた。
赤い粒子が凄まじい速度でその手に集い、即座に形を形成していく。
「夢符『封魔陣』!!」
霊夢はその完成を待つことは無かった。そもそも待つメリットが無いため、当然だろう。
霊夢より投げられた一枚のカードは、地面に叩きつけられると同時に、白い結界を形成した。結界は肥大化すると上空へ伸びて、上にいるレミリアを巻き込もうとする。
が、レミリアの攻撃の方が早かった。
「神槍『スピア・ザ・グングニル』」
レミリアは赤い槍を構え、真下へ放った。
恐ろしい風切り音を奏でながら、まるで何事も無かったかのように白い結界を喰らうと、地表近くで急激に曲線を描いた。
グングニル。
それは、主神オーディンが投げたとされる槍で、その槍は……
「封魔針!」
決して、敵を逃さないという。
槍は霊夢から放たれる弾幕を強引に食い破り、ターゲットへ肉薄する。
普通の人間ならばここで終わりだ。そもそも、決して逃げられない弾幕をかわせという方が不可能な話だろう。
だが。
「北欧神話の武器とか、正直どうでもいいわ」
直後、霊夢の左右から青色の牙のようなものが現れ、グングニルを噛み砕いた。
一蹴。
神話の主神が用いた武器を、あっさりと破壊した。
「その武器を持ったオーディンは、フェンリルとかいう狼に飲み込まれた……でしょ?」
「……ふぅん。その牙状の霊力は、さしずめフェンリルの牙を再現したって所かしら?」
「形だけでも力を持つってのが楽よね。『オーディンをフェンリルで喰った。』それだけよ」
「精巧な人間の人形に魂が宿る……精巧な形のものには、それに似た力が宿る……ふふ、中々博識じゃないの、貴方」
「これでも陰陽道に通じてるのよ。そもそも、人形に魂うんぬんは私達陰陽の得意技だし」
霊夢は一息ついて、改めて鋭い目でレミリアを見据えた。胸の前で複数のお札を広げ、ゆっくりと呟く。
「そろそろ付き合うのも飽きたし、終わらせるわよ」
霊夢の闘志に、答えるようにレミリアの妖力が膨れ上がっていく。小さな口から見える鋭い牙がギラリと光る。
「そうね。なら終わりにしましょうか。次こそは、私達『吸血鬼』の力を使って」
「来なさいよ。赤い杭で貫いてあげる」
赤い吸血鬼と赤い巫女。
二つの力は、容赦無く追突した。
次の瞬間、斜め下方向から青色のナイフが放たれた。真っ直ぐな線を描くナイフは、迷うことなく霊夢とレミリアへ向かっていく。
「「!?」」
それを視界の隅に入れたレミリアと霊夢は一つ舌打ちをし、
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