マブラヴ
0889話
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俺の名前を呼びつつ差し出してきた崇継の手を握り返し、口を開く。
「で、夕呼を通してまで俺を呼び出したってのは、一体何の為だ? いや、日本の立場を思えば考えるまでもないが」
「ははは、確かにね。日本としても中国がBETAに占領されるのは困るし……そうだな、こう言ってはなんだけど、緩衝地帯としての中国というのは色々と便利なんだよ」
歯に衣着せない、というのはこういう事を言うのだろう。
五摂家の……しかも当主なんだから、その辺を取り繕うのはお手の物だろうに。
もっとも、崇継がここまでユーラシア大陸に関してBETAを封じ込めたいと言うのは分からないでもない。
現在のユーラシア大陸には鉄原ハイヴという人類の橋頭堡が存在しており、BETAと戦うという意味ではかなり有利になっているのだ。
勿論それには俺達シャドウミラーを経由して輸出されているガン・ルゥやリニアガン・タンク、あるいは技術供与による改修で継戦能力が飛躍的に上がった戦術機の存在もある。
そう。新兵器の実験場という意味では、今のユーラシア大陸はこれ以上無い程の環境なのだ。
そして、崇継は五摂家の中でも殊更そっち方面に対しての意欲が旺盛だ。
もっとも、そうでなければ飛鳥計画のテストパイロットとかは引き受けていないだろうが。
俺達が受け取った飛鳥計画の試作機は、ストライクダガーの解析の甲斐もあって当初予定していたよりも性能が15%程も上がり、生産性についてもそれなりに向上しているらしい。
15%? と最初にこの情報を夕呼経由でレモンから聞かされた時は思ったものだったが、既に試験機が出来ている状況で、そこから更に15%アップというのは普通に考えれば有り得ないらしい。
飛鳥計画に参加している技術者が相応に有能な証だと言ってたな。
そもそも、ストライクダガーを譲渡してからまだ1年と経っていないのに、既にある程度の技術解析が完了している辺り、納得だ。
ともあれ性能が以前よりも増した試作機の性能を見たり、実戦証明という意味でもBETAとの戦いというのは必須なのだろう。
だが、そのBETAとの戦いが日本で行われるのは困る。ならユーラシアで……といったところか。
他にもストライクダガーの解析の結果、色々と戦術機の性能は上がっているらしいし。
「さ、まずは君に会わせたい人がいるんだ。会席料理の席を用意してあるから行こうか。……本当なら、ここに恭子でもいれば雅なんだけどね」
小さく溜息を吐く崇継に、近くにいたお付きの斯衛が咳払いをする。
「崇継様、彼女は崇宰家の次期当主とも言われているお方ですよ。向こうにも色々と都合というものが……」
「分かってるよ、真壁」
気安い様子で答える崇継。
そう言えば以前の花見の時もそうだったが、他の
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