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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
46.無力なる神意
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い。
「よくこんな寒い中を制服だけで出ようと思ったね」
「ちょっとコンビニに寄るだけのつもりだったからな」
それがまさか変な事件に巻き込まれるとは予想などできるわけもない。
寒そうにしている彩斗を見兼ねたのか柚木は首に巻いていたマフラーを外してこちらに渡してくる。
「これ使ってよ」
「別にいいよ。お前寒がりだったろ」
「よく知ってるね。そこまで私のこと見てくれてたの」
彩斗をおちょくるように柚木は悪戯をするような笑みを浮かべる。
「見てりゃわかんだろが。まだ冬じゃねぇのにそんな重装備してるんだからよ」
「まあそうだね」
そう言いながらも柚木は彩斗の前まで出るとマフラーを首に巻いてくる。ほのかに体温が残っているのもあってとても暖かい。
かなり長いマフラーのためか彩斗の首に巻いただけではかなり余ってしまっている。松葉杖を持っていな方の手で余りを無理やりにでも巻こうとした時だった。柚木が突然、こちらに身体を寄せてきたかと思うと余っていたマフラーを自分の首に巻き出した。
「これで二人ともあったかいでしょ」
悪戯をするような笑みを浮かべる柚木の頬と引っ付くんじゃないかと思うくらい近い。
悔しながらも身長的にあまり大差がない彩斗と柚木では、とても距離が近い。
彩斗の頬が一気に紅潮していき、熱くなるのを感じる。
柚木は彩斗の体質を知った上でからかうために平気でこのような行動をやってくる。
「ねえ……彩斗」
柚木が袖を掴みながら小さな声で呼ぶ。その声からはいつものからかうような雰囲気は見られない。
「約束して欲しいの……もうあんな無茶はしないって」
やはりか。柚木が先ほどのあそこまで冷たくなってのは、彩斗のことを心配してのことだとわかっていた。なのに柚木が謝るのはおかしなことだ。
彩斗は確かに無茶をした。けれどもあのままの海原をほっておけば柚木は死んでいたかもしれない。彼女がいかに不死身の吸血鬼といえども彩斗にとっては人間と何一つ変わらないのだ。
それならば動かずにはいられない。無茶をせずにはいられない。
「ああ、わかったよ」
でもな、と彩斗は続けて言葉を紡ぐ。
「約束しろ。お前もこれ以上無茶はするなよな」
「えっ……」
そんな言葉が白い吐息とともに大気へと流れた。
柚木の瞳は丸くなり、彩斗をじっと見つめる。
「そこまで驚くことでもねぇだろ。友人を心配するのは普通のことだしな」
不器用な笑みを浮かべながら頭を掻いた。我ながらこっぱずかしい台詞を言ったような気がしてまたも頬が熱くなるのを感じる。
柚木はわずかに笑みを浮かべながら彩斗が聞こえるか聞こえないかの声で何かを呟いている。
そ
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