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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
46.無力なる神意
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らないからだ。
それでも知りたい。例えそれが自分の意思じゃなかったとしてもだ。
辺りを静寂が包み込む。壁に掛けられたアナログの時計の秒針がわずかな音を立て、風が窓ガラスを揺らす。
「勝手にすればいいよ。どうせ彩斗にできることなんて何もないんだから」
そう言い残して柚木は奥の部屋へと姿を消した。
テーブルの上に置かれたティーカップに手をかけて紅茶を飲みながら、ラ・フォリア・リハヴァインは心中穏やかではなかったか。銀色の髪に碧い瞳。
美の女神
(
フレイヤ
)
の再来とも称される、北欧のアルディギアの若き王女だ。
落ち着かないように彼女は何度も紅茶を飲んでは置きを繰り返している。
「まだ着かないのですか、船長?」
「あと最低でも一時間はかかるぜ」
船長と呼ばれた男が目的地までの時間を知らせる。その言葉を聞いてラ・フォリアは深いため息をついた。
彼女は現在装甲飛行船“ベズヴィルド”で絃神島へと向かっている最中だった。
目的など決まっている。緒河彩斗が危険だと叶瀬夏音の護衛を兼ねて、絃神島に駐在させている密偵──ユスティナ・カタヤから情報があったからだ。
不死身にして伝説の吸血鬼である“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が危機に陥ることなどほとんどないであろう。しかし今回は相手が悪すぎる。
同族の吸血鬼。“
賢者の霊血
(
ワイズマンズ・ブラッド
)
”の事件の時に現れた謎の少年が関わっている。ただの少年ならば彩斗の敵ではないであろう。だが、彼は彩斗から何かしらの力を奪ったようだとユスティナから情報があった。ラ・フォリアはそれがどこか引っかかっていた。
そして先日、強大な魔力を感じたのと彩斗と古城が何者かに襲われた。
そんなことがあればいてもたってもいられなくなってラ・フォリアは、絃神島へと向かう。
「…………彩斗、古城」
不安を感じるラ・フォリアに低い男の声が聞こえる。
「大丈夫ですよ、姫様」
軍隊の礼儀服を身にまとった大柄の男性がティーポットを持って現れた。大柄のせいかかなり小さく見えてしまう。
ありがとう、と短くお礼を言ってラ・フォリア再び紅茶を啜った。
「アイツはその程度でやられるほど柔ではありませんよ」
男はどこか懐かしむような言う。
「そうですね。彩斗なら大丈夫ですね」
ラ・フォリアは慈愛に満ちた優しい微笑みをして彼を信じるのだった。
結局その後微妙な空気になり彩斗は何も聞くことができずに松葉杖だけを渡されて家に帰れとと言われた。
美鈴はまだ用事があるからもう少しかかるということで一人で家に帰ることになる。大きな怪我などしたことのない彩斗には人生初めての松葉杖はとてつもなく歩きにくい代物だった。
エ
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