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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
46.無力なる神意
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。東欧の夜の帝国、戦王領域の第一真祖、“
忘却の戦王
(
ロストウォーロード
)
”。中東の夜の帝国、滅びの王朝の第二真祖、“
滅びの瞳
(
フォーゲイザー
)
”。そして中央アメリカの夜の帝国、混沌界域の第三真祖、“
混沌の皇女
(
ケイオスブライド
)
”。
そういえば四番目の真祖が確認されたという噂があった気がする。
アレイストはわずかに言いにくそうに口をつむいでいる。そしてかなりの間を空けてから言葉を吐いた。
「我々は吸血鬼……そして真祖さえも殺せる力を持つ」
「え……?」
意味がわからなかった。もはや彩斗が理解できる範疇を優に超えている。
不老不死の《真祖》を殺せる?
そんなことありえるのか?
寿命すらなく心臓を貫かれようが頭を吹き飛ばされようがそれがなかったかのように再生するのが不老不死の《真祖》なはずだ。
───あれ?
なぜだ。なんでそんなことを彩斗が知っている。そもそも真祖の存在は知っている。だが、名前まで知ってるほど魔族に詳しくはない。なのに彩斗はそれを知っていた。
「ん───グッ!!」
突如として頭に激痛が走った。
これ以上はまだ早い、と誰かが告げてくる。
その声はアイツの声だ。彩斗ではない彩斗の声だった。
「大丈夫か!?」
アレイストが慌てて駆け寄ってくる。
「は、はい。大丈夫です」
痛みに堪えながらも彩斗は答える。
「大丈夫なわけないでしょ。……このバカ」
小さく聞こえた声に彩斗は即座にそちらへと振り向いた。
壁を手をついてぎこちなく歩いてくる少女の姿に彩斗は安心する。
「お前にだけは言われたくねぇっつうの」
不器用な笑みを浮かべて柚木を見るのだった。
彼女の体のいたるところに包帯が巻かれており、先ほどの戦いの激しさが伺えた。それもそのはずだな。彩斗が柚木の元へたどり着くまでにもずっと戦い続けていたのだ。
「柚木ちゃん、もう歩いても大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。あり程度なら自分の治癒能力だけでもいけますから」
その発言を聞いて彩斗は改めて思い知らされることになる。
……柚木は吸血鬼なのだということを。
「これ以上は彩斗に話す必要なんてないですよ、アレイストさん」
柚木は強い口調で言い放つ。
無関係だと言いたいのだろう。確かにその通りだ。
「いや、続けてください。俺は知りたいんだ」
自分でもどうしてそんなことを言ったのか分からない。いつもの彩斗ならばこんな事件に首を突っ込むことなど絶対にしない。何事においても無気力だったはずだ。だが、今回は違った。
多分、その理由がわかることはないであろう。それは彩斗の意思なのかそれとももう一人の自分ではない誰かの意思なのかがわか
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