暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
46.無力なる神意
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はできた。
「……そっか」
彩斗は力なく呟き、なんとなくだがここまでの経緯を思い出した。
海原を殴って倒した彩斗。しかしそれとともに全ての力を使い果たして自身も倒れたのだ。その後に誰かがこの病院と思われる場所まで運んでくれたのだろう。
自分のものではなくなったように重い身体をベッドから起き上がろうとした。しかし足には力が全くというほど入らずにそのまま床へと倒れこんだ。
「い……てぇ……」
あれほどのダメージを受けて足にも力が入らないというのにしっかりと痛覚だけはあるようだ。なんとも不自由な体だな。
手に力をこめて立ち上がろうとする。しかしまるで先ほどのことが嘘のように全くというほど力が入らない。
彩斗がひっくり返った亀が如く床で起き上がろうと足掻いていると遠くの方から足音が聞こえてくる。その音は徐々に大きくなってきている。どうやらこちらに向かってきているようだ。そろそろ床が冷たくて苦痛になってきていたので内心安心する彩斗だった。
その足音は、彩斗が這いつくばっている床の前で止まり豪快にカーテンを開け放った。シャー、というカーテンレールを滑る音が聞こえる。
「あらあら、ベッドから転がり落ちるなんてすごい寝相ね」
女性の声が聞こえた。
「違いますよ。起き上がろうとしたらこうなったんです」
辛うじて動かすことができた首を女性の方へと向ける。すると赤い派手なヒールを視界の端に捉える。
「とりあえずは意識が戻ったなら大丈夫そうね」
その言い方だと相当危ない状況だったのだろうか。確かによくよく考えてみても彩斗がやったことは“無謀”以外の何者でもなかった。不死身を誇る吸血鬼相手にただの人間が勝負を挑んで生きていたことだけでも奇跡に近い。
「と、とりあえず起こしてもられるとありがたいんですが」
「あ、ごめんね」
女性の力を借りてようやく冷たい床から起き上がることができた。
「ありがとうございました」
軽くウェーブがかかった肩まで届く黒髪。二十代後半から三十代前半くらいの年齢だと思われる。白衣を着ていることから医療関係か科学関係ということはなんとなくはわかる。さすがにコスプレで着ていることはないだろう。
「あなたの身体って丈夫ね。本当にただの人間なの?」
「…………」
思わず黙り込んでしまう。今回の出来事のせいで彩斗は自分自身が本当に人間なのか心のどこかで疑っていた。彩斗が人間じゃないとするなら今回海原に勝つことができたのも説明がつく。
そもそも人間と化け物の違いとはなんだろうか。人間ではない形状をしているものを化け物というのだろうか。ならば人の形をしている吸血鬼とはなんだ。人間を簡単に倒せる者を化け物というのだろか。それなら唯も
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