初めての仲魔と実戦
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。原作ゲームで自分も戦いながら、戦場で声を出して指示をするというのは無理だろうと疑問に思っていたことが解消された瞬間だった。
(正直、咄嗟の思いつきだったが、うまくいったようで何よりだ。それに何より運が良かった。もし、降魔していたのが物理耐性持ちのスエタケじゃなかったら、最初の奇襲で死んでたかもしれない……。)
結果だけ見れば徹の圧勝のように見えるが、実際のところ本当に薄氷の勝利であった。一つ間違えば、逆の立場であったことは想像に難くない。ゲームとは違う実戦の恐ろしさを、徹は否応なく思い知らされることになった。
「大したものでさ。その年で切り札を限界まで隠しておくとはね。正直、もう駄目かと思いやしたからね」
「ははは、はらはらさせてすまないな。俺もできれば使わずに済ませたかったものでな。正直、使わせられたのは誤算だった。まだまだ未熟だな」
「その年でそれだけやれれば十分だと思いやすよ」
「うん、この感覚は……」
そんな風に言葉を交わしていると、周囲の空気が変わったのを徹は感じた。
「主が倒されたんで、異界が崩れたんでさ。元の世界へと回帰して空気が変質したんでしょう」
「なるほどな…なっ!」
ゴブリンの言に納得して、首肯しかけた徹だが、突然に刀を一閃させた。キンキンと金属音が響き、火花を散らす。刃に散らされて落ちるのは、巨大な針のようなものだ。
「なんで?!異界が崩れた以上、あしみたいに契約している悪魔以外は、魔界に戻されるか消滅するはず」
ありえない事態に驚愕するゴブリンだが、徹はなんでもないことのように答える。
「ふん、要するに倒されてなかったってことだろ。出てこいよ、妖獣チェフェイ」
「あらあら、残念。お見通しでしたか」
徹の声に導かれるにように姿を現したのは、狐面をつけた妖艶と言う他ない美少女の悪魔。先ほど、他でもない徹自身が蜂の巣にした異界の主、妖獣チェフェイであった。残念といいながらも、その表情は楽しげで、少しも残念そうには見えない。
「なっ!異界の主!旦那に蜂の巣にされたはずじゃ?!」
実際、穴だらけになったチェフェイを見ただけに、ゴブリンの驚きは並のもののではなかった。どう考えてもあれは死んでいたのだから。生きているのがおかしい状態だったのだから。
「ええ、ええ、凄く痛かったですよ。私が唯の分霊だったら、この異界の主でなかったら、間違いなく死んでました。でも、幸いにもこの身は本体で、私は異界の主でした。
だから、穴だらけにされた体を今まで溜め込んでいたマグネタイトと、異界を維持する為に使っていたマグタイトを全て使って、修復したんですよ。おかげで、あと少しで3尾まで戻せた力も、再び2尾の最低ラインです
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