初めての仲魔と実戦
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したのだ。10以上のLV差で、自分に傷一つつけることもできないゴブリンを拘束しておくより、目の前の少年相手に片手では不覚をとるかもしれないと思ったからこそである。
「タルカジャ」
だが、それは結果的にマイナスであった。解放されたゴブリンはあろうことか補助魔法を少年にかけたのだ。LV差ゆえの侮りを突かれたのだ。チェフェイは僅かに歯噛みするも、表情を変えない。なぜなら、それでも結果は変わらないからだ。
確かにチェフェイがゴブリンを拘束したままで、片手だけであれば、少年の渾身の斬撃は補助魔法の効果もあいまって、彼女の身を切り裂いただろう。しかし、現状彼女は両腕を使えるのだ。チェフェイのMAG力場の密度なら、少年の刃を防ぎ切ることは十分に可能なのだから。
「ふふ、残念でしたね」
少年の渾身の斬撃を、チェフェイは両腕をクロスして受け止めた。僅かに肉に食い込み、切り裂かれたことに少々の驚きと感嘆を覚えながらも、彼女は妖艶に微笑んだ。終焉を告げる死神の笑を。
チェフェイの笑を見た時、徹は勝利を確信した。勝利するのは、今この時しかないと。
「スエタケ!」
あの時よりさらに研鑽された召喚技術により、それは瞬時に顕現した。ペルソナ『タイラノスエタケ』。小アルカナSWORD(剣)に属する射撃攻撃を得意とするペルソナだ。超密着状態のこの距離ならば、ましてや百発百中の特殊能力を持つタイラノスエタケならば、絶対に外さない。満を持して、放たれるスキル『百将匹敵』は狙い過たず、チェフェイを蜂の巣にしたのだった。
「ふう、危ないところだったが、どうにかってところだな……。そっちは大丈夫か、ゴブリン」
胸を撫で下ろすように一息ついた徹は、未だへたりこんでいる仲魔に声をかける。
「へえ、お陰様で。それにしても、坊ちゃ……いえ、旦那は最初からあれが本命だったんですかい?」
徹の力を認めたのか、呼び名を改めて尋ねるゴブリン。
「旦那ね、まあ坊ちゃんよりはよっぽどいいか。まあ、そうだ。あわよくば『鬼断ち』で殺れればとは思わんこともなかったが、受け止められるのは最初から織り込み済みだった。本命は、至近距離からの最大火力での飽和攻撃さ。補助魔法もその強化のためだしな」
密かに宝玉で全快させた体での渾身の斬撃を囮にしたペルソナでの本命攻撃。それが徹の描いた勝利への絵図であった。本来、全方位への全体攻撃である『百将匹敵』を至近距離から放つことで、防御不可能な飽和攻撃にしたのだ。
ちなみにダメ押しの補助魔法「タルカジャ」の指示は、マグネタイトのラインによる声なき指示だ。不思議なもので、契約した仲魔とはCOMPを介したマグネタイトのラインで結ばれ、それを通して意思の疎通ができるのだった
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