初めての仲魔と実戦
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の雑魚悪魔だが、普通の人間にはどうすることもできない十分な脅威である。それが8歳児を囲むように3体。普通なら、少年の命は風前の灯火である。
「人が苛々しているのに、横でごちゃごちゃうるさい!」
だが、件の少年『水原 徹』は当然のようにただの8歳児ではない。言うが早いか、徹は愛刀を鞘走らせると振り向きざまに一閃。見事に一体を両断すると、返す刀でさらに一体。残り一体となったガキが状況を理解するに至った頃には、すでに勝敗は決していた。なにせ、その首は宙を舞っていたのっだから。
「しまった。つい反射的に斬っちまったが、物理反射とかだったら洒落にならんかったぞ。アナライズする癖をつけないとな」
悪魔には物理攻撃を反射したり無効化するものも存在する。そういう意味では、敵がなんであるかも確かめずに斬撃をお見舞いしたのは、けして褒められた行為ではない。
「これも実戦か。そうだよな、敵が待ってくれるわけじゃないし、何が来るかも不明なのが普通か。いや、そんな状態で戦うことになったら、駄目だろ。今回は仕方ないにしても、事前にある程度の下調べはすべきだろう。それに今回だって、素直に受けていれば、師匠からこの異界についての情報を聞けた可能性もある。くそ、色々迂闊すぎるな!」
なるほど、実戦でしか学べないことはあるものだと徹は思った。
(訓練ではいかに厳しくとも、最低でもいつ来るか、何が来るかくらいは分かるからな。それに繰り返す内に、それは既知なものに変わる。それを考えれば、何が来るかもいつ来るかも不明な実戦は、訓練とは比べものにならない未知ゆえの厳しさがある。「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」とは孫子の兵法だが、なるほど敵を知らないということは、それだけで己の身を危うくするんだな。幸いにも、己を知っているとはいえるから、一勝一敗にはもっていけるところが救いか?いや、この場での一敗は、絶対の死であり人生の終焉なのだから、何の救いにもならんな……。)
そんなことを考えながらも、ガキの死体が消えていくのを見守る。勿論、警戒も怠らない。この様な時に気を抜いての奇襲が何よりも怖いからである。徹は、雷鋼に勝利を確信した際の隙を突かれたのは一度や二度ではないから尚更であった。
「とりあえず、見かけだけは美味そうな餌にひっかかった低能は、こいつらだけか……。他の連中は気づいていないのか、様子見なのか?はあ、やれやれ。こりゃ確かに甘く見てたわ」
さらなる襲撃がないことを確信た後、改めて現状を認識した徹は、やるべき事の多さと己の矮小さに辟易する。実際、こうして放り出されてみれば、我が身のなんという心細さか。訓練の場では必要がなかった全方位に対する警戒、否応なく強いられる緊張、背中の寒さを嫌でも実感せざるをえない。
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