初めての仲魔と実戦
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マグネタイトの制御をCOMPに委ねず自ら行う直接契約などと、とんでもないことを言い出した徹にゴブリンも心配して翻意を促すが、徹の決意は固かった。
「大丈夫だ、やってくれ」
「後悔しないでくださいよ。忠告はしましたからね」
そう言うと、徹とチェフェイの足元に両者をつなぐ魔法陣が描かれ、光り輝き消滅する。
「これで問題なく契約はなされました。妖獣チェフェイと申します。今後とも末永くよろしくお願いします。うーん、それにしても素晴らしい生体マグネタイトですね。質量共に申し分なしです。なるほど、これならば直接契約も頷けます。それで普段はどこに入っていればいいんですか?ライドウみたいに管ですか?まさか出しっ放しにするおつもりですか?」
「いや、そんなつもりはない。封!」
「へ?わわわわっ………」
徹の短い言葉と共にたちまちに徹の影に吸い込まれて消えるチェフェイ。これこそ、雷鋼や卜部が所属していた一族が秘伝した悪魔召喚術『影封じ』である。もっとも、封じておけるのは精々が3体まで、同時使役はどんなに頑張っても2体までなのだから、現在のCOMPによる悪魔召喚プログラムにも葛葉の管による召喚術にも劣るものでしかない。まあ、それらを凌駕する利点も存在するのだが……。
「影封じとは驚きやした。旦那は本当にびっくり箱みたい方ですね」
驚愕と感嘆をもって徹を見つめるゴブリン。そんな時、情けない声が下から響く。
「うう、出して、出してくださいよ」
「はいはい、今出してやるよ。現!」
「ふう、やっと出られました。いきなり閉じ込めるなんて酷いですよ、主様!
それにしても、影封じとか……もしかしなくても、主様は雷鋼の糞爺の縁者なんですね?」
「ああ、雷鋼の爺さんはおれの師匠だけど、知っているのか?」
よもや、チェフェイが雷鋼を知っているとは思わない徹は驚く。
「ええ、ええ、よく知っていますとも。本体の私がこんな所で異界の主やっていたのも、最低ランクまで力を削ぎ落とされたのも、元はといえば全てあの糞爺が原因ですから!」
恨み骨髄と言った感じで語るチェフェイに、徹はこれ以上聞かないほうがいいいことを本能的に悟った。
「でも、いいのか?俺はその原因の弟子だぞ。そんな奴の仲魔になって、不満じゃないのか?」
「全くないとは流石に言いませんが、不満はありませんよ。雷鋼への恨みはあくまでもあの糞爺個人へのもの。その弟子だからといって、主様までその対象にする程、私は狭量な女ではありませんよ」
「そうか、それならいい…「でも」…が…。でも?」
「いきなり影に封じ込められたのは不満です。怒っちゃいます。ですから、これはその慰謝料ということで」
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