二十七話:迷子には気をつけような?
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戦いたいが為に、退屈な現状を打破するために、己が楽しむために、彼は泥沼の戦争を再び引き起こそうと言うのだ。
そんな事をリアスは決して許さない、いや許してはならないのだと自分に言い聞かせる。リアスは誇り高く、正義感の強い女性だ。
故に彼が行おうとしていることを阻止することに迷いはない。迷いはないのだが……。
「私達に出来るのかしら……」
自らの実力がコカビエルを止めるに値するとはどう客観的に考えても思えなかった。
何も彼女に才能が無いわけでも力が無いわけではない。彼女は間違いなく才能にあふれている悪魔だ。力だって同い年の悪魔と比べれば上位に入るだろう。しかしながら、今回は相手が悪すぎる。
かつての戦争を生き抜いた歴戦の猛者であり、悪魔にとっての弱点である光を十二分に使いこなす堕天使の幹部なのだ。潜って来た修羅場の数が違いすぎる。
それを前にして呑気に勝てると思えるほど彼女は驕ってはいない。
何より、以前の『レーティング』の時より彼女は自分の弱さを痛感しているのでなおさらだ。
「部長……」
「っ! 何かしら、イッセー」
俯くリアスにイッセーが近づき声を掛ける。彼女はそれに対して慌てたように顔を上げ彼の顔を見る。そしてその顔つきに思わず、息をのむ。彼の顔は気合に満ち溢れており彼女が漂わせていた悲壮感を一瞬にして打ち消してしまった。彼は自分が失敗するなどとは欠片も思っていなかった。いや、彼にとっては成功や失敗などは二の次だ。彼は心にある強い信念を持っている。それは―――
「できる、できないじゃないんです。やるか、やらないかなんです!
やる前から諦めてどうするんすか!」
「イッセー……そうね。私が間違っていたわ。まずはやらないとダメね」
そう言ってイッセーに微笑みかえるリアス。それに対して満足げに笑うイッセー。
そんな様子を見て彼は本当に成長したものだと彼女は嬉しく思う。
そして、それもこれも今この場にいない彼がもたらしたものなのだろうと考える。
ルドガー・ウィル・クルスニク、オカルト研究部、唯一の人間にしてオカルト研究部一の強さを誇る彼が今ここに居ないのは正直に言うと痛すぎる。
しかし、居ないものはしょうがないのだ。居るもので対処していくしかない。
それに彼に頼りすぎるわけにもいかない。自分達は仲間なのだ、困った時は頼り合う存在であって片方にだけ頼るという存在であって良い訳は無いと彼女も彼も思っている。
だからこそ、彼が必ずここに来ると信じて戦う。
「リアス、結界を張り終わったわ」
「……悪いわね、ソーナ。結界を張るのを全部そっちに任せて」
「いいわよ。それに私達は貴方達にそれ以上のものを任せてしまっているのだし……」
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