コヨミフェイル
015
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」
「どうせ、忍お姉ちゃんはスズ姉がトランス状態だからとかそんなことを言ったのだろうけれど、それは有り得ない」
「?」
「わかるだろう?猿のお姉ちゃんとか猫のお姉ちゃんはトランス状態のときどうだったか思えば、もしくは思い出せば」
「トランス状態のとき意識は残っていても身体の自由はなかった――だろう、鬼いちゃん?」
「ああ、そうだったな。じゃあ、火憐ちゃんはトランス状態じゃないということか?」
「違うよ。トランス状態では――ある。意識はほとんどないだろうし、身体の支配権は完全に黄泉蛙にある。ただスズ姉は――」
「お前様よ、やはりこれは、お前様が聞くべきことじゃない。そんなことを知るよりも儂がこの件をさっさと片付けた方が得策じゃ」
忍が少し語調を強くして斧乃木ちゃんの発言を遮った。
「忍お姉ちゃん、それもこれも忍お姉ちゃんの決めることじゃない。忍お姉ちゃんの主が決めることだよ」
「じゃが」
斧乃木ちゃんに正論で説き伏せられたものの、忍は弱々しく食い下がった。
「気遣ってくれてありがとう、忍。だが、それは無用だ。僕は何を言われても受け止められる自信がある」
「お前様よ……」
「お前が心配する必要はない。精精いつか行くミスタードーナツで食べるメニューでも考えてろ」
「…………わかった」
本当に考えるわけではないないようで、心配が晴れないのか渋々と言ったふうに忍は引き下がった。
「忍お姉ちゃんの承諾が出たところで、先を言おうか」
と、無表情に斧乃木ちゃんは言った。
「スズ姉は、誰かに、改造されている――つまり、身体を弄られている」
そして、なんでもないように続けた。
「………………どういうことだよ」
だが、勿論、それは僕にとって耳を疑うような内容である。
弄るってなんだよ?
腹裂いて解剖でもすんのかよ?
怒りなど沸かなかった。
それどころではなかった。
真っ白になった頭の中で不毛な自問自答をしていた。
「そのままの意味だよ、鬼いちゃん。スズ姉は取り憑かれているとは言っても、身体は人間。鍛えているからと言って、吸血鬼化している鬼いちゃんの攻撃を防げるはずがない」
絶対にない、と斧乃木ちゃんは断言した。
「猿のお姉ちゃんとか、猫のお姉ちゃんがあんな人間離れした技を繰り出せるのは、実際に身体が人間離れしているから。憑かれているのではなく、住み着かれているからだよ」
そう、住み着かれている。神原は左腕に、羽川は――住み着いているというよりかは、融合していると言った方が的を得ているような気がする。
だから、塀や壁をまるで積木のようにいとも簡単に破壊したり、瞬間移動したり、僕の腕を引きちぎったり、内蔵を引き摺り出したりできたのだ。
「なら、火憐ちゃん
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