コヨミフェイル
015
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んに報告をする義務があるにはあるんだけどね。お姉ちゃんなら喜び勇んで来てくれると思うよ」
もし無表情でなければ、満面の笑みを浮かべて言っているであろう台詞を棒読みで、携帯を片手に、無表情で、言う斧乃木ちゃん。
「な、何が言いたいのかな〜、斧乃木ちゃん?」
「僕は今一年分のハーゲンダッツが食べたい気分なんだけど」
「そんな気分があってたまるか!!」
高校生に借金をさせるつもりか!!
「何を言っておる、我が主様よ。あの軽薄の小僧に借金をしていたではないか」
「何故斧乃木側に付く!あれは忍野の計らいでちゃらになっただろ!」
「儂も今一年分のミスタードーナツを食べたい気分じゃからな」
「嘘をつけ!!」
こんなときだけ結束しやがって、現金な奴等め!
「まあ、それはそれとしてじゃ」
と、言って話を戻す忍。
「お前様がそう言うのなら、試してみるがよい。不死身性が上がっておるから、ちょっとやそっとじゃあ死なんじゃろう」
「そうだよ。自分がどれほど無力か思い知るいい機会だね。吸血鬼なんかと同意見であることは甚だ遺憾だけど」
忍が火憐を牽制するために動けないことをいいことに僕の後ろで僕を罵倒しながら、忍の悪口を言う。
僕を盾にする抜かりなさである。
それに対して忍は高校生ぐらいにまで成長しただけあって大人の対応っといった風に無視して受け流している。
「なんだよ、それ。初めから半殺しにされるみたいな言い方……」
「うん?そう聞こえんかったか?ならお前様の脳もいささか使い物にならんのう。処分したらどうじゃ?」
「嫌々だけど、手伝ってあげるよ、鬼いちゃん」
「くっ……言わせておけば、貴様等!見ておけ!すぐに片付けてやるからな!」
ここまで言われて黙っているほど僕はチキンじゃないぜ!それを思い知らせてやる!伊達に死線をくぐり抜けてきたわけじゃない!
「そうだね。鬼いちゃんの言う通り、急いだ方が良さそうだね」
「うん?」
まさに足を踏み出そうとしたところで斧乃木ちゃんが意味深な言葉を漏らした。その斧乃木ちゃんを何故か忍が、咎めるように眼光鋭く睨みつけていた。
「忍お姉ちゃんは気付いていて、黙っているのか、もしくはごまかしているのかは知らないけれど、スズメバチのお姉ちゃん、略してスズ姉はとても危ない状態にいる」
斧乃木ちゃんはそんな忍を無視するどころか責めるような言葉を放った。
忍は一瞬目が怒りに燃え盛ったが、図星なのか、後ろめたいことがあるのか、すぐに気まずそうに俯いた。
きっと、両方だろう。
それを責める気持ちにはならなかった。きっと僕のことを思ってのことなのだから。
それよりも忍が僕に伝えることを躊躇うようなことの内容を知りたかった。
「どういうことなんだ?
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