コヨミフェイル
015
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方じゃ」
「まあ、それはさておき」
閑話休題。
「僕はやられたときよりもさらに強くなってるんだぜ?」
忍が僕の不死性を上げるために吸血しているのだ。
それに忍が高校生ぐらいにまで吸血鬼化したのは忍が忍となって以来初めてである。最高でも影縫さんと大立ち回りをしたときに中学生ぐらいにまで吸血鬼化させたぐらいだ…………ん?ていうか、中学生まで吸血鬼化させるのが限界じゃなかったっけ?
ぎりぎりのところまで吸血鬼化するために互いに何度も吸血して微調整に微調整を重ねたんじゃなかったっけ?
と、なると………。
確認のために口の中に指を入れる。
うん、八重歯が長くなってる。後、今気がついたけど、夜なのにやけにはっきり見える。
つまり、今の僕の状態は、
「吸血鬼化しすぎだろ!!」
ということだった。
「お前様がたわいもなく首を粉砕されおったから、あ、慌ててのう。吸い過ぎたのじゃ」
「………………」
罰が悪そうに顔を背けながら言う忍を許せてしまう自分が情けないやら恨めしいやら。
「その所為でお前様と儂の上下関係、いや主従関係があやふやになっておる。儂がお前様の影に繋げられておったのが、その影がなくなってしまったのじゃからな」
「ああ」
足元を見る。影があるはずのそこには影があったが、今は夜だ。部屋の中は明かり一つなく、当然だが床はどこを見ても黒に塗り潰されていて、自分の影など見えない。その所為で気が付かなかったのだ。
「これ、元に戻れるんだろうな?」
戻れないと、無害認定が取り消されて影縫さんに退治され兼ねない、いや絶対されてしまう。
仕組まれたのではないかと思うほどにちょうどいいことに影縫さんがこの街にいる。
絶体絶命だ。
「当たり前じゃ。あのときのように儂の血を奪えばいいだけじゃからのう」
あのときとは春休みのことを指しているのだろう。
あのことに関しては和解が成立しているから話題に上げることに引け目も何も感じる必要はないのだろうけれど、やはりまだ抵抗を感じる。
忍はそれを感じていないようで、僕の戸惑いに不思議そうにしている。
まあ、それはそれとして、
「……よかった」
いや、本当によかった。
もし、戻れなかったら羽川よりも一足先に海外に高飛びしていただろうことは想像に難くなかったのだ。
「とは言っても、この現場に影縫さんが現れれば、それでアウトである。さっさと片付けて元の身体に戻さなければ――とでも考えてるんだよね、鬼のお兄ちゃん?――と、僕はキメ顔でそう言った」
いつともなく背後にいた斧乃木ちゃんが呟いた。
「…………」
「僕はあくまでお姉ちゃんの式神だから無害認定を取り消せるほどの権限はないけど、鬼いちゃんが吸血鬼化したことをお姉ちゃ
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