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闇物語
コヨミフェイル
015
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どに触れた感覚では、鍛えている分、身が引き締まっているとは言え、石のような硬さは感じなかった。だが、一度火憐が防御に転じると、体が石のように硬くなるのだと言う。
 そのために幸か不幸か火憐の体にはダメージと言えるようなダメージはなかったらしい。
 だが、その所為で、神原が苦戦を強いられて、深手を追ったと思うと、やはり不幸なのかもしれない。
 それはさておき、ここで気にするべきことは火憐の硬化である。
 黄泉蛙のスキルであることは確定だろう。だが、黄泉蛙は蛙なのだ。由来がどうであれ、蛙なのである。それは明白な事実で、無視できないことである。
 そして蛙が硬化するようなことはないこともまた明白な事実であり、無視できないことである。
 「確か、北白蛇神社の道の途中で思い出そうとしていたことがあっただろ?そのことじゃないのか?」
 「そうなのじゃ。お前様の後輩の言ったことを耳にしてピンとくるものがあったのじゃが、それがはっきりとせん」
 忍は眉間にシワを寄せて俯いた。
 そして、何かを思い出したのか、はっとしたように忍が顔を上げたそのときだった。
 窓側の壁一面が爆散した。
 それで発生した音、というよりかは衝撃波が身体に浸透して、内臓を押し潰されている感覚を覚えた。まるで、空爆を受けたようだったが、これが砂ぼこりの中に佇む人間兵器の仕業であるならこの表現は間違っていないだろう。
 言うまでもなくその人間兵器は火憐である。
 そして、此度その人間兵器は怪異を搭載されている。
 壁を吹き飛ばしてできた砂ぼこりが収まると、その姿が月光に照らされて浮かび上がる。黄と黒のジャージはいつも通りだったが、顔に張り付いた何の感情も窺い知ることのできない無表情だけが異質だった、異常だった。
 目は虚空を見詰めていて生気をまるで感じさせなかった。
 その目がおもむろに忍を見据える――月火と同等の存在力の忍を。
 だが、月火の存在力を辿って、辿り着いた場所にいたのが予想と全く違った怪異であることにまるで驚きを見せなかった。完全無欠の無表情だった。
 その無表情の顔にはちきれんばかりの笑顔を浮かべた火憐の顔がちらついて、嫌悪感が沸き上がった。
 「火憐ちゃんに憑いたことを後悔させてやる!!」
 嫌悪感とともに沸き上がる怒りに任せて『心渡』を掴んで黄泉蛙に向かって疾走した。忍に血を与えて身体能力が向上していることもあって、思った以上のスピードが出た。
 「待つのじゃ!お前様よ!!」
 後ろを走る忍の声が遠くに聞こえて、入ってこない。
 走りながら『心渡』を大上段に構えて火憐が間合に入った瞬間に振り下ろした。その間火憐はまるで微動だにしなかった。それどころか視線を忍に合わせたままだった。
 しかし、火憐が腕を引いたと思ったときには振り下ろした『
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