コヨミフェイル
015
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がどうして僕の動きに対応して反撃までできるんだ?」
真っ白な頭に浮かんだ疑問をそのまま機械的に口に出した。
「その答えが、つまりは改造ということだよ、鬼いちゃん――僕はキメ顔でそう言った」
改造――物を作り替えること。
言い換えると、『身体』を作り替えるということ。
こんなこと想像もしたくない。
「…………何をしたんだ?」
「リミッターを解除した、もしくはリミッターの制限を緩めたんだよ。リミッターは身体に掛かる負荷が超過しないための自立的な制限装置。それを改造して、スズ姉は人間では出せない力を発揮している――人間離れした力を発揮している。勿論、それは身体に対する多大な負荷というつけを払うことも意味する。ただ、救いなのは、身体を物理的に弄られてはいないことだね。リミッターは意識的、精神的なものだからね」
つまりは火憐は僕が想像したようなグロテスクなことはされていないということか。
だが、そんなことは関係なのだ。
改造されたのは、紛れも無い事実なのだから。
「ということは、火憐ちゃんの身体は既にぼろぼろということか?」
「まだボロボロじゃないが、タイムリミットはすぐだろうね」
『すぐ』とは曖昧な表現だったが、多分自分が思っている『すぐ』よりもすぐなのだろう。
「……わかった。それで、もし、タイムリミットを過ぎればどうなるんだ?」
「負荷に耐え切れなくなった肉体は瓦解するだろうね。体中の腱は断裂して、骨は折れて、脱臼も起こす――程度で収まったら幸運だね」
で、幸運じゃなかったら、もう歩けるような身体には戻らない。
平然と斧乃木ちゃんは言った。
それに怒りを覚えたわけではない。
これが斧乃木ちゃんなのだし、言ってしまえば、斧乃木ちゃんにとっては、これは他人事なのだから。
「なら、さっさと助けないとな」
そう言って、再び足を踏み出そうとしたが、
「その意気込みに水を差すようだけど、忍お姉ちゃんの言う通りにこれは忍お姉ちゃんに任せた方がいい」
再びその一歩を遮られた。
「…………なんでだ?」
今度は何だとばかりに斧乃木ちゃんに向き直って言った。
「この件があまりにも不自然だからだよ。まず、お姉ちゃんが獲物を逃がしたこと。お姉ちゃんは鬼いちゃんの妹のときみたいに見逃したことがあっても、逃がしたことはない――というか、見逃すことすらあの一度だけだよ」
逃がしたことはない、か。
まあ、あの人が怪異を逃がすことなど想像できないし、本当のことだろう。
そうすると、確かに不思議だし、どう黄泉蛙が逃げおおせたのか気になるところではあるが、わざわざその失敗談を聞き出すのも野暮だろうと判断して斧乃木ちゃんの続きを無言で聞いた。
「そして、その逃がした獲物がこの街に逃げ込
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