コヨミフェイル
015
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けあって、調節に要した血の量はそれほど多くなく、二、三歳程度成長するに留まったのである。
それでも、全盛期の忍を見てわかるように、忍は長身なので、月火とそれほど背丈が変わらない。さらに着ている着物が月火を思わせる。
きっと僕のイメージが反映されてしまっているのだろう。
ここまでくれば、作戦の内容はほとんど明かしたようなものだが、敢えて言わせてもらえば、存在力は全くの同一、容姿はごく一部のみ同一である忍は今回月火の囮になってもらっている。
そして、囮に引っ掛かってのこのこ現れた黄泉蛙に憑かれた火憐を『心渡』で黄泉蛙だけを切る。障り猫のときには失敗した作戦だが、今回は黄泉蛙という低級の中の低級の怪異なので、火憐を危険に晒すことなく『心渡』で一太刀のもとに切り伏せられるとのことだ。
と、まあ、荒っぽいが、こういう作戦なのである。
「こうしてお前様と二人になるのはいつ以来かのう」
唐突に忍が言った。
「何を言ってるんだ。誰もいないときに二人きりだろ。そういう意味では、僕の彼女である戦場ヶ原でさえ比較にならないほど二人でいる時間は長いだろ。ていうか、僕と戦場ヶ原が二人きりだった時間はないという意味じゃないか!!」
芋づる式に驚愕の事実が露見した。
少し考えればわかるようなことであるが、今まで気にしなかったのだ。
「だけど、まあ、それを一心同体というのだろうな」
戦場ヶ原とは学校と放課後に勉強を教えてもらう間ぐらいしか会っていないのを考えると、一緒にいる時間も比べものにならないのである。
このことを戦場ヶ原がどう思うだろうか。
いや、戦場ヶ原のことだからこのことについては既に気付いていて何かしらの結論を下して割り切っているのだろう。勝手な憶測だけど。
「じゃが、儂は夜型じゃから、お前様と二人きりでおる時間は実質的には少ないし、」
それに一緒にいる時間の長さなぞ関係ないじゃろう?
何故か得意顔で忍は言った。
「……そうだけどな」
戦場ヶ原は気にしていないかもしれないけど、浮気しているようであまり気が晴れない。勿論そんなつもりは毛頭ない。だけど、今朝浮気を否定したことに後ろ暗い気分にさせられないでもないのだ。
「軽い気持ちで話題にするべきじゃなかったのう。まあ、気にするでない。今はそれより気になることがあるのじゃ」
「ん?」
「お前様の後輩が言ったことについてじゃが」
「ああ、火憐が石のように硬くなることか」
作戦の内容を皆に伝え終えた後に神原から聞き出したことである。
『攻撃を加えようとすると、途端に硬くなる。まるで貝が殻を閉じて身を守るように』
だそうだ。
黄泉蛙に憑かれた火憐と拳を交えていたときに気付いたらしい。
火憐が放った拳打を弾いて軌道を逸らしたときな
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