三話
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ていることを伝える。
「ッ!……GDF本部。まだ民間居住区に人が残っています」
「……もう無理です」
「しかし!」
「引き上げてください。彼らが乗る船はもうありません」
そういうジョン・スミスの表情は苦汁に満ちており、声も震えていた。
このことに気付いたスズカゼは、言いたいことを飲み込んで、シモンの方を見る。シモンはただ首を振るだけで、何も答えてくれなかったが、それだけで答えを理解したスズカゼは、悔しそうな表情で俯く。そして顔を上げると
「1から6号機。帰還しなさい」
いつもの表情、いつもの声で、そう命令を下した。
その命令に、仕方がないと≪アッシュ≫各機は帰還しようとしたのだが……≪レッド5≫だけが動かないのを見て、怪訝な様子でイズルへ通信を開く。
{イズル?}
{どうしたの?}
{帰還しろって………}
{帰還しますよ?}
{何やってんだよ}
アサギ達にそう言われるが、イズルは俯いたままで表情が見えない。だが
「まだいるだろ……」
と、低い声で言う。
普段のイズルとはかけ離れた様子だが、今この場でそれに気付く者はいない。
「あの人達を助けるにはここにいる敵を倒すしかないのよ!?」
{無茶だ!たったこれだけの数で……}
「無茶しなきゃ……」
アサギの言葉を遮り、イズルは
「ヒーローになれないだろ!」
と、叫んだ。
普段見せないイズルの叫びを聞いた私達チームラビッツは
「……キャラじゃな〜い」
「それお前のキャラと違うだろ」
「なんだよその熱血」
「どこの熱血教師ですか!?」
「ヒーローって本気だったの……」
と、総ツッコミだった。
{来るわよ}
{お前のせいで戦うしかなくなったろうが}
そう拗ねたように言いながら、アサギはいつでも戦えるように身構える。他のメンバーも同様。いつでも戦えるように、それぞれの武器を構えた。
{どうして撤退しない!敵の主力部隊とまともにやりあう気か!}
「もう戦うしかありません」
攻めるような口調で言うジョン・スミスに、スズカゼは諦めたような声音で言う。
{どうやったら勝てるんだ}
{やっぱり、逃げた方がッ!}
アサギが敵の数を見て呟き、スルガがヘタれた声音で言う。
通信越しに聞こえているはずの会話のはずだが、今のイズルには聞こえていなかった。なぜなら、今イズルの心の中では、二つの本能がせめぎ合っているからだった。
「逃走」と「闘争」。似ているが、全く正反対の意味を持つ言葉。この二つが、今イズルの中でせめぎ合っているのだ。
そしてこの現象は、イズルだけではなかった。
(戦え……護れ……戦え……護れ……)
私もまた、二
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