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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Dragon Bless』
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許されない、その脅威。だが、それすらも“沸騰する核(■■■■■)”の前には意味を成さず。それは初めから、かの『総帥』の力の一部。


 それを成した黒金の右手が────嚆矢の右手と重なって。


「燃え尽きろ─────!」
『“無限熱量(インフィニット=ヒート)”』


 時すらも燃える程に黒く煌めく金燐が、世界を染めて─────後には。


「……ッたく、世話ァ掛けさせやがる」


 裏柳生の長足術(はやがけ)猿飛(サルトビ)”にて肉薄、当麻の頭に当たる筈だった光の羽を握り締めて。拡散する創始の具現に、最早存在自由すら許されずに驚愕に満ちた断末魔を上げる『何か』ごと、焼き潰した嚆矢の姿が。
 棚引く紫煙に包まれて、存在するのみで────


「アンタ、こーじ……あだっ?! な、何すんだ……痛ってぇ〜!」
「こ、こーじ?! 何するの!」
「莫迦が────テメェが傷付いて、その娘が喜ぶかよ! 中途半端すんな、やるんなら最後まで、徹頭徹尾のハッピーエンドにしやがれ! 第一な、第一お前…………」


 他人の為に己を省みずに投げ出すような莫迦に、割と真面目に力を籠めて。光の羽の代わりに当麻に拳骨を打ち噛ました、そんな自分が酷く気恥ずかしくなって。
 当麻にインデックス、ステイルに火織。此方を見詰める四人の眼差しを誤魔化すように溜め息を吐いた後で、バリバリと『左手』で頭を掻き毟って。


「……『嚆矢()()』だ、年下野郎。女の子以外の年下に呼び捨てられる覚えはねェ……礼儀くらい弁えろッてンだ」


 わざとらしくふてぶてしい態度で、チープな悪役のように。吸いきった煙草のフィルターを吐き捨てて、踏み躙ったのだった。

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