第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Dragon Bless』
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音が、辺りに響き渡った。
『警告────“首輪”……の、致命的──損傷を……修復不能──けい──告、警……こ───…………』
見れば、当麻の『右手』──“幻想殺し”に殴り砕かれて崩れ落ちる二つの魔法陣と、倒れゆくインデックス。そのインデックスを受け止めた、上条当麻。月の光に照らされた、まるで英雄が囚われの姫君を助け出したかのような情景。思わず背中が痒くなる光景だ。
あの強固な障壁を突き破っただけでも大したものだと言うのに、まさか本当に『向こう側のモノ』をぶっ飛ばすとは。
愉快痛快を通り過ぎて、最早恐怖すら感じる『右手』だった。
「終わった、か────」
それを眺め、辟易するように溜め息を。紫煙を虚空に散らした嚆矢、その瞳に────舞い堕ちる光の羽が、“竜王の殺息”の余波が。
ゆらり、ゆらりとその二人に向けて降り堕ちるのを、当麻とインデックスと共に見る。恐らく、それにはステイルも火織も気付いている。だが、嚆矢だけが気付いた。その羽に潜む、確かな悪意。インデックスの魔法陣の奥に居た、『何か』が────
「悪足掻きをッ────!!」
しかし、遠すぎるのだ。今からでは、誰も。当麻の“幻想殺し”すらも間に合わない、当たる。インデックスに……否、彼女を庇った上条当麻に。
では、諦めるか? 否、諦める等と言う選択肢は────とうに、諦めた。
「奪わせやしねェ、これ以上……」
だから────無駄と知りつつも、右手を前に。真っ直ぐに、迷い無く伸ばす────!
『無駄じゃない────わたしが、こうじには届かせるわ』
光の羽……否、そこに潜む悪意が戦意を感じたのか、激しい敵意を向けてくる。しかし、戦意程度に意味など無いと嘲笑う。その『何か』は、嚆矢が間に合わない事を知っているからこそ────悠然と舞い降りていて。
「何一つ────貴様如きに!」
それは宇宙の黎明、“大爆誕”の光。虚無からの爆発の刹那には、無量無辺にまで版図を拡げる光と熱気。ならば、届かないもの等はありはしない。この世に在るモノで有る限り、有り得ない。
かつて火星と木星の間に在った惑星をデブリベルトに変えた無限熱量。“ビッグバン”の1プランク時間後の熱量、即ち『プランク温度』。摂氏1,420,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000℃────『これ以上の温度は物理的に意味が無い』“絶対熱”。量子力学上の、温度の最上限値。支配者すら存在を
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