第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Dragon Bless』
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語り掛ける。何かを期待するように、情熱と冷静の狭間で。
──俺は……
問い掛けた声が、二つ。視界の端に、黒金と白銀の姿がちらつく。有り得ない事だ、複眼の一つ一つにまで、必ず視界の端に。
全天周を睥睨するショゴスの眼差しの全ての視界の端に映るなど。
『……てけり……り』
瞬間、損耗過多に装甲を維持できなくなったショゴスが解けて影に沈んでいく。破壊される前に、退避したのだろう。
後に残るのは、天魔色の髪に生まれつきの“蜂蜜酒色瞳”を持つ────打刀と脇差しを佩いた、浅く日焼けした少年のみ。
自嘲と共に胸ポケットに忍ばせた煙草を銜える。丁度、最後の一本。そして気の利いた事に、火ならば目の前で轟々と燃え盛っている。触れれば、一瞬で消し炭すら残らない勢いで。
そもそも、既に死に体。連戦と、鎧に魔術行使による魔力……即ち、生命力の多量な消耗。体温すら保てているかどうか。
「俺は、約束を果たす。『また会う』って、インデックスと約束したからな……その為には、あの娘を────助ける! 助けた上で、生き残る!」
それでも、そんな何の変哲もない日常会話の口約束を。ほとんどの人が忘れてしまうような御為ごかしを、矜持として。精一杯の威勢、精一杯の虚勢を込めて悪辣に嗤いながら。
聞こえたのではなく、感じた声は────
『……うん、だったらいいの。大丈夫よ、貴方なら届くから。わたしが、保証してあげるわ』
『……ふん、だったらいいよ。大丈夫さ、君には届かせない。ワタシが、保証してあげるよ』
意気を新たに、右手を前に。彼は気付くまい。その背後に立つ、『光芒』が二つ。『創始』と『終焉』の────煌めきと眩めきが二つ。黒金の光と白銀の闇が、薄紅色と薄蒼色の星雲が、二重螺旋を描くように輪舞して。
その正体を知るのは、極僅か。盲目の邪神狩りの聖人であるとか、喫茶店店主の方程式の魔人であるとか────或いは彼の背後で嘲笑する、燃え上がる三つの眼差しを向ける影であるとか。窓も出入り口も無いビルの中で、ビーカーに逆さまに浮かぶ黄金の糞虫であるとか。
『────ぐ
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