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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Dragon Bless』
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 そんな殺息から、逃れる事も出来ない。逃げれば、()()()()()()()()()()()()()()()()。どうしても、このままではそうなる。
 錯覚であるのは分かるが、あの虚空に浮かぶ月にまで。或いは、届くやも知れぬと思わせられる程の魔力の奔流だ。


 だと言うのに、勝算が立たない────否、道は一つ在る。今までそうして生きてきた。その為の装備ならば、この腰に佩いている一振りでも十分。
 そう────()()()()()()()()()()、被害は彼女一人で済む────


「────だから、聞けよ!」
《────?!》


 その光の奔流を、上条当麻が防ぐ。生身で、『右手一本』で。この神鉄の装甲を飴細工のように融かす聖ジョージの竜王の殺息、それすらも“幻想殺し(イマジンブレイカー)”は打ち消している。


「っ……あの化け物をブッ飛ばせば、インデックスを()()()()()! 記憶を消す必要なんて無いんだ、だから!」
《ッ…………!》


 だが、如何に“幻想殺し(イマジンブレイカー)”と言えども問答無用と言う訳ではないらしい。光の奔流が吹き付ける度、吹き飛ばされそうになりながら。それでも一歩も引かず、上条当麻は叫ぶ。


「手を、伸ばせよ……後少しで、インデックスを助けられるんだ!」
《…………》
「「…………!」」


 それはきっと、片膝を突いて喘ぐ嚆矢だけではなく。呆気に取られたままの、ステイルと火織に向けても。あれだけの暴力に晒されて尚、諦めない。その後ろ姿に、()()()()()()も視野に入れた己が酷く惨めに映り。
 聖ジョージの竜王の殺息はそれすらも呑み込もうと迫り続けて────


「────“Salvare 000(救われぬ者に救いの手を)”!」


 先ず、突出したのは火織。七天七刀からの“七閃(ななせん)”が畳を斬り、インデックスの足場を崩す。それにより、“竜王の殺息(ドラゴン・ブレス)”は遥か上空に向けて射線が逸れた。
 夜空を、どこまでも高く昇っていく一条の光。それは一種、幻想的なまでに美しく。破壊された屋根から覗く暗闇から、光る羽が降り落ちる。余りに場違いな、まるで天使の羽根から落ちたかのような羽が。


「それに触らないで下さい────“竜王の殺息(ドラゴン・ブレス)”の余波ですが、それだけでも十分に危険です!」


 言われるまでもない、あんな異質。異物。しかし、厄介な事にそれは多数。当麻も、それの
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