第十二話 上田大尉!!どうでもいいがホークスしっかりしろ!!その十一
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「ですから」
「今度こそジャスティスカイザーに勝ちます」
「元老はご武運をお待ち下さい」
「是非ここで」
「わかりもうした、ではおいどんはでごわす」
こう言ってだ、そして。
その手にだ、筆を持って。
出陣の文章を書いた、それから。
上田大尉の出陣が決まった、彼はこの時書を書いていた。毛筆のそれを書いてから空軍衆の兵士に西郷の文章を渡されてだ。
そしてだ、こう言ったのだった。
「では」
「これよりですね」
「私のこの書の腕で」
その兵士への言葉だ。
「必ず」
「倒されますか」
「そうする、任せておいてくれ」
「ジャスティスカイザーを成敗されるのですね」
「あの者達を倒せる」
そのことはと言うのだった。
「これ以上はない光栄だ」
「そして、ですね」
「そのうえで日帝衆の悲願を達成する」
必ず、というのだ。
「是非。そうさせて戴く」
「ではご武運を」
「それではな、そして」
「そして、ですか」
「戦いの場だが」
上田自身がジャスティスカイザーの二人と戦うだ、そこはというのだ。
「そこは何処にするかだ」
「はい、何処がよいと思われますか」
「私にそれを選ぶ権利が一任されるのか」
「左様です、どうされますか」
「そうだな、銀閣寺にしよう」
京都の東山にある足利義政が建てさせた寺である、その美しさは東山文化を象徴しているとさえ言われている。
「あの寺の前でだ」
「勝負をされますか」
「そうしよう」
「では発表されますね」
「これより果し合い状を書くことになるか」
「いえ、果し合い状は」
兵士が書こうとした上田に言った。
「元老が書かれます」
「元老ご自身が書かれるのか」
「はい、これまで果し合い状はです」
「全て元老が書かれていたのか」
今明かされる衝撃の事実である、この作品で何度目かの衝撃の事実だ。若しかすると最初かも知れないが作者は知らない。
「そうだったのか」
「はい、そうした設定になっています」
「元老がそうされていたとはな」
「元老は非常に律儀な方なので」
「ジャスティスカイザーにも礼を尽くしてか」
「はい」
「流石だ」
上田は西郷のこのことを知り感嘆の言葉さえ漏らした。
「そこまでされてか」
「はい、ジャスティスカイザーとの戦いの勝負を進めておられます」
「敵に対しても礼を尽くす」
「まさに誠の方ですね」
「武士だ」
その心を持っているというのだ。
「正真正銘のな」
「その通りですね」
兵士も同意して頷く。
「あの方は」
「その深きお心、素晴らしい」
上田は感慨を込めて言った。
「私もかくありたいものだな」
「私もです」
兵士もまた上田のその言葉に頷いて答えた。
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