25話:知将が二人
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てドアを開ける。
しかし、子荻はここでとんでもないものを見た。
蘭を銃、正確にはニューナンブM60で狙っている男は躊躇いと恐怖が入り交じったような表情で、狙いを定める。
定めたと同時に蘭が後ろを振り向いて、伊藤誠というニューナンブM60を自らに向けている男を認識する。
蘭の体が完全に伊藤誠の方を向いたと同時に、発砲。
バン、と火薬の弾ける音がした。
子荻も霧切も毛利蘭はそのまま死亡すると思っただろう。
何せ彼女は一般人だ。
殺し名が持っているような戦闘スキルも。
呪い名が持っているような非戦闘スキルも。
いるだけで最悪を振り撒くような無為式も。
持っていない。
だが。
それでも彼女は。
''力''を持っていた。
銃を見た瞬間、その目付きが自らの髪型より鋭くなる。
銃弾が発射された瞬間、体は動く。
銃弾が当たる瞬間、髪がなびく。
「な、あっ!?」
何かに驚愕したような声を上げる伊藤誠。
そして、彼のように声など上げなかったが、霧切響子と萩原子荻も驚いていた。
毛利蘭は、あろうことか、銃弾を避けたのだ。
驚くべき点は銃弾を避けたという行為そのものではない。
拳銃の弾を避けるのは、プロのプレイヤーならできて当たり前のことだし非戦闘集団である呪い名にも出来る者はいるだろう。
問題は。
毛利蘭が、紛れもない一般人だという点だ。
一般人でありながら。
普通の人間でありながら。
表の世界で平和に暮らしていながら。
何の戦闘スキルもない素人でありながら。
プロのプレイヤーと同じことが出来るという点だ。
稀代の策士を驚かせるには充分だったが、毛利蘭の力はこれだけには止まらない。
「はああああアアアアアアアアアアっ!!!!」
威勢の良い掛け声と共に、毛利蘭の蹴りが伊藤誠の顔面に打ち込まれた。
脚が当たると同時に意識を手放した伊藤誠の体は、サッカーボールのように飛んで、教室を飛び出して廊下の壁にめり込んだ。
唖然としている二人の知将をよそに蘭は問い掛ける。
「大丈夫ですか?」
それは、いかにも普通な、二人の女子高生を心配する言葉だった。
(‥‥‥見えなかった)
戦闘は全く向いていないとはいえ、曲がりなりにも傭兵育成学校で育った子荻にも目で追えなかった。
さらに男の体は壁にめり込んでいる。
このパワーはひょっとしたら、あの人類最強にも匹敵するのではないか。
勿論、力だけでなく動体視力や反射神経などもそのまま暴力の世界で通用するものだ。
そして。
子荻はこの時点で毛利蘭を自らのチームに引き入れる事を決めた。
その理由はただ単に蘭が強力だからでない。
彼
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