25話:知将が二人
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「‥‥‥私は萩原子荻です。殺し合いには乗っていません」
今のところは、だが。
乗ってない、と聞いて女子高生の顔から緊張が消える。
「よかった‥‥。私は毛利蘭です」
毛利蘭。
確かに、子荻の頭の中に完全にインプットされた参加者名簿の中にあった名だ。
「‥‥‥私は霧切響子」
その声を聞いた蘭は驚いて霧切の声のした方向に振り替える。
その顔は明らかに「いたんですか!?」と言っていた。
早くも空気化フラグの立つ霧切である。
「それで、毛利さんは何故ここへ?」
「えっと。私はこの学校の生徒なんですけど、ひょっとしたら知り合いがいないかなと思って‥‥‥」
「知り合いというのは?」
「コナンくんっていう男の子と、父と‥‥‥」
やり取りするうちに、子荻の率直な毛利蘭の感想は思う。
(‥‥‥普通ですね)
あまりにも普通の女子高生だ。
今現在子荻がいつでも毛利蘭から逃げられる位置に立っていることも、自分と話している間に霧切が蘭をじっくりと観察していることも、さりげなく子荻が蘭から様々な情報を引き出していることも気が付いてないようだ。
まさか、自分や霧切みたいに少々世間一般から離れた世界で暮らしている人間の他に、こんな明らかに普通の女子高生が呼ばれていたとは。
主催の意図がまったくわからなくなった。
蘭と話しながら霧切に目配せする。
勿論、完全に蘭の隙をついて配ったその目に蘭が気付くことはない。
(この子を仲間にするのはやめておきましょう)
(‥‥ええ、その方が良さそうね)
(何か口実をでっち上げるので、うまく適当に合わせてください)
こくん、と霧切が頷く。
「―――の、もしよかったら一緒に行きませんか?」
それきた。
子荻は残念そうな表情を作って答える。
「せっかくですが、私は―――」
霧切さんの仲間を探さないといけないのであなたの目指すところとは反対方向に行かなければならないんです。
と、続けようとして気付いた。
蘭が開けてそのままにしていた教室のドアから、人の気配、それも殺気が感じられることを。
プロのプレイヤーが持つような物ではない。
ただの素人の殺気。
(ていうか、微妙に銃が見えてます)
撃つのを躊躇っているのか、開かれた引き戸から銃身が見えたり隠れたりしている。
「? どうしたんですか萩原さ―――」
流石に蘭がいきなり黙った子荻を気にかけたと同時に。
見えたり隠れたりするだけだった銃が持ち主ごと完全に姿を現した。
子荻は駆け出す。
霧切の待機している後方のドアへ。
銃の存在を認識したそのときから、蘭が油断を見せたタイミングで撃ってくる可能性を考慮していた。
霧切も咄嗟の出来事に対しての対処が上手い。
すぐに大体の事情を察し
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