25話:知将が二人
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崎双識って人かしら?」
「ありえません」
一秒も経たずに即答する子荻。
基本的に子荻のやり方に口出しはしないと決めた以上、霧切は何も言えない。
「それで?」
結局彼女の策とやらを話すように促すことしか出来ない。
「単純に人に出会いたいなら動いて、人の集まりそうなところに向かった方がいいでしょう。しかしその方法は同時に一網打尽を狙うマーダーに襲われる危険も孕んでいます」
霧切は黙って聞いている。
「そこで、"高い実力を持っているが自分より格上の存在を知っているため慎重に行動する人物"の心理を考えてみましょう」
「‥‥‥なるほど」
探偵である霧切も人の行動を予測することは出来る。
子荻の言いたいことに予想はついたが、口出しは出来ないのでそのまま黙っていた。
「今がまだ序盤であることを加味して、いきなり見つけた人を襲うなんてことはほとんど無い筈です。そういう人は自分より強い存在に対抗するための手段を探そうとします。手っ取り早い方法が同盟を組むことです。勿論弱そうな人を見つけて殺害し、強力な支給品を奪うという方法もありますが、この策はリスクが高すぎます」
確かに。
殺した相手に支給された物が当たりだとは限らないし、仮に強力な支給品を持っていたとしても抵抗された際にこちらが深刻なダメージを受ける可能性は高い。
「強い味方を探したい場合。私なら、とりあえず見晴らしが良いところに行きますね。そこで他者の戦闘を見て、強さを見定める。そして味方にできそうな方に加勢すればいい。」
つまり。
我々の行くべき場所は見晴らしが良く、この会場の多くを見渡せるところ。
「‥‥‥まあ、異論はないわ」
「では、地図でそういうところの当たりをつけておきましょう」
◆
がら、と。
会議を始めてから五分もしないうちに、2-B教室に一人の女子高生が入ってきた。
なぜ女子高生だとわかったかというと、服装がごく一般的な、子荻のようにデザイン性に溢れたセーラー服でも霧切のように改造されたものでもないブレザーの制服を着ていたからだ。
勿論、女装したどこかの戯言遣いではないのは、その特長的過ぎる髪型を見てわかった。
(ドリル‥‥‥?)
以上が霧切の思考である。
子荻はというと、誰かが入ってくるような気配を感じたために机から降りて立ち上がり、いつでも戦闘出来るように身構えていた。
霧切には女子高生が入ってきたドアとは反対側に位置するドアの近くに待機するように指示してある。
「あ、あの」
女子高生が先に口を開いた。
「あなたたちは?」
名前を教えて欲しいならまず自分から名乗れ。
子荻がそんな風に言う展開になるんじゃないか、と勝手に頭に浮かんだ霧切だったが、現実はそうはならなかった。
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