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ヒキガエルのジャクソンさんのお話
第四章
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「今はね」
「じゃあ仕方ないね」
「うん、水鳥は諦めよう」
「他の生きものを探そう」
「けれどね」
 子供達は子供達なりに自分達の周りを見回します、ですが。
 足元に一杯いる筈の蛙達に気付きません、そして。
 子供のうちの一人がです、もう一人に残念そうに言いました。
「いないよ」
「やっぱり?」
「何か見えた?」
「いや、全然」
 この子もこう言うのでした。
「何もね」
「水草しかないね」
「そうだね、しかも随分長くて茂っていて」
「中々先に進めないし」
「若しここに蛇でもいたら」 
 長靴を履いた靴で苦労しながら水草と水草の間を進みながら言います。
「噛まれたりしたら」
「大変だね」
「ここにはこれ以上入らない方がいいんじゃない?」
 こう言うのでした。
「もうね」
「それがいいかな」
「山の方に戻って兎でも探そう」
「兎?すばしっこいから見付からないよ」
「それでもだよ、ここには何もいないよ」
「だからだね」
「うん、もうここは帰ろう」
 こうお話してなのでした、そのうえで。
 子供達はその場を後にしました、そしてです。
 蛙達はほっとしてお水から身体を出してでした、こうお話しました。
「よかったね」
「うん、助かったよ」
「一時はどうなるかって思ったけれど」
「どっかに行ったね」
「ここからいなくなったね」
「ジャクソンさんの言う通りにしたらね」
 隠れて動かずにしていたらというのです。
「やり過ごせたね」
「逃げるよりずっとよかったね」
「水鳥にも襲われなかったし」
「よかったよ、本当に」
「皆無事でいられたよ」
「そうじゃろ、下手に動くよりもな」 
 ジャクソンさんも言うのでした。
「隠れている方がよい時もあるのじゃ」
「それが今だね」
「今だったっていうんだね」
「そういうことじゃ、動けば見付かる」
 それこそです。
「相手も馬鹿ではないからな」
「けれど隠れて動かずにいたら」
「かえってなんだね」
「見付からないものなのじゃよ」
 その方がというのです。
「こうしてな」
「そういうことなんだね」
「隠れている方がいいんだ」
「下手に動くよりも」
「その方が」
「それが今だったのじゃよ」
 まさにというのです。
「いや、よかったわ」
「そうだね、じゃあ」
「無事やり過ごせたし」
「雁も何処か行ったし」
「後はね」
「ここでゆっくりしよう」
「そうして楽しもう」 
 こうそれぞれお話するのでした、そしてです。 
 アーサーさんもです、ジャクソンさんにこう言いました。
「今回はジャクソンさんのお陰だね」
「うむ、わしの考えでいってよかったな」
「若し逃げていたらかえって駄目だったね」
「人間の子供に捕
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