紅の十字架 そのE
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・・・・!!! ぐっ、えぐっ、ううう〜〜・・・・・・」
美鈴もその炎を見て無念を表現する嗚咽を漏らした。何が至らなかったのか、どうして、どうしてこんなことに――――。
炎は、深紅の炎は二人の死を弔うように十字架の形をしていた。
「うわああああああああああああああ!!!!」
二人の目を厭わず、美鈴はただただ懺悔するように泣いた。
* * *
レミリアの攻撃を受け続けたアリスは血を吐きながら部屋の片隅でボロ布のように転がっていた。動けない、人形を操る力も無い。
「・・・・・・う、うぐ、ええぇ・・・・・・」
なぜか、なぜか涙が流れた。周りを探しても何もなかった。魔理沙は、魔理沙は?
違う、違う、違う! 魔理沙はさっき死んだ。魔理沙は、もう、戻ってこない・・・・・・。
「ま、あ、りさ・・・・・・うぅ、魔理沙・・・・・・、・・・・・・」
魔理沙はもう死んだのだ。私の世界から消えたんだ。魔理沙のいない世界なら私は――――。
意識が消える。眠るように、アリスは眼を閉じた。その後の大爆発を彼女は知る由もない。
眼を開くとそこはいつもの部屋だった。見慣れた光景、自分の部屋だ。人形に関する知識をまとめたノートと、紅茶のカップ。すすけた電球に上海人形。
「・・・・・・ここは?」
いや、自分の部屋だ。どういうことだろうか。さっきのは夢だったのか?
「アリス!」
と、私の名前を呼んだのは・・・・・・白黒の服を着て帽子を深く被った少女の姿だ。
「・・・・・・魔理沙?」
一瞬彼女の声だと分からなかった。姿は見慣れているのに、肉声を聞いたのは初めてのような気さえした。
「・・・・・・どうして? あなたは、さっき・・・・・・」
気が動転する私を構わず後ろから魔理沙は優しく抱えた。
「・・・・・・いいんだ、もう。終わったんだぜ・・・・・・。アリス」
私は訳が分からなかった。あなたは、さっき・・・・・・、と自分で言ったけどどうしてそんな言葉を発したのか分からなかった。
魔理沙は『ここにいて当然じゃあないか』。だって私は『魔理沙の為に生きてる』んだから。
「アリス、あぁ、アリス、アリス。私は今幸せだぜ・・・・・・」
魔理沙は私をさっきより強く抱きしめた。『幸せ』という単語に私までもが『幸福感』に包まれる。そうか、『魔理沙の幸せは私の幸せ』なのか。
「アリス、もうアリスは私以外『見えなくなる』んだ。そして私以外『全て忘れる』んだぜ・・・・・・?」
その言葉を聞いた瞬間、私の視界から『魔理沙以外の物が消失』した。そして記憶か
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