紅の十字架 そのE
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に強い吸血鬼だがゴリアテのパワーはそれを上回る。避けようとしたレミリアだが反応が遅れた。
「あっ、あぁぁあああッ、痛い、痛い痛いぃぃいいい、あっ、いぎいいぐぎいいいいいいい!!!」
レミリアの胴から下が粉砕された。さすがの吸血鬼といえど、下半身を巨大ハンマーで叩き潰されれば泣き言も出る。これまで感じたことの無いような激痛がレミリアをおそった。
「あぐ、ぐぐ、うぎ、ぐ、っがあああぃ痛い、痛い、ぐ、ぅうう・・・・・・」
涙を滲ませながら潰された下半身からの離脱を計る。上半身を一心不乱に動かし、ゴリアテの腕からブチブチブチ、と下半身をつなぐ皮膚を引きちぎっていくが――――。
「・・・・・・!? や、止めろ、掴むな、あ、あ、やめ、やめて」
既に彼女の周りを人形が囲っていた。透明の人形たちはレミリアの上半身を掴み、ぶしゅ、ぶちゅ、と次々と血管を破裂させていく。
「や、やぁぁ・・・・・・」
回復する間もなく、血が、命が流れていく。レミリアの口から出る言葉は弱々しい叫びだけだった。血が足りない、力が抜けていく、寒い、寒い、寒い、怖い、怖い、怖い・・・・・・。
ぶしゅぅ、ぶしゅっとレミリアの至る所の血管は破裂し、もはや抵抗は出来なかった。
あぁ、もう、ダメだ。自分が死ぬのが分かる。これが、これが最期か。私の最期がこれか。お似合いだ、血塗られた人生だった。咲夜に対して犯した罪のお返しが今ここで全てやってきたんだ。こんなに惨めなのか、死ぬのが、惨めだとは思わなかった。こんなに怖くて、寂しいものとは思わなかった。あぁ、フランドールもこうして死んだのだろう。惨めで、寂しくて、怖くて、寒い。
――――ごめんね、咲夜。フランドール。私はもう――――。
* * *
そうやってレミリアが意識を手放そうとしたときだ。
「お嬢様ッ!!!」
(・・・・・・!? 紅美鈴、何をしに来た?)
アリスは美鈴の姿を見ると身構える。
扉を開いたのは美鈴だった。美鈴はこの状況を見てどう思っただろうか。部屋の真ん中でレミリアが死にかけている。半ば諦めようとしている。自分がどうすればいいか、何をすればいいか、ほとんど判断できなかっただろう。こんな極限状態は未だかつて無いのだから。ここで美鈴が判断を誤っても仕方がないことだった。レミリアの元に行くのはマズイ。周りに透明の人形がうじゃうじゃいる。言葉だ。美鈴は直感的にここで言うべき言葉を探した。レミリアの薄れ行く意識の中で最も有効だとなりうる言葉。
それは頑張れ、だとか、そういうものじゃあなくて。
「・・・・・・パチュリー様の治療が完了しました」
なぜ美鈴がそれを選んだのか、後で聞いてもおそらく答えられ
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