紅の十字架 そのE
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レミリア・スカーレットだ。最初の場面で攻撃されなかったのは奇跡と言っていい。美鈴が危険だと言うことは百も承知だが、美鈴とレミリアはあくまで主従関係でそこに危険は存在しない。それに身一つの美鈴があんなゾンビ共に後れを取るとは思えない。私たちが行ったところで面倒が増えるだけだ。あっちにとっても、こっちにとっても」
「・・・・・・ですが、もしかするとゾンビたちを操っている本体が屋敷の中に」
がしっ!
そう言って食い下がろうとしないジョルノに対して妹紅は舌打ちをして胸ぐらを掴む。
「それを倒すのがお前の役目か? 美鈴とレミリアと共闘してそいつをぶちのめすのがお前の義務か? 違うだろ、本来の目的を忘れるな。フランドールは十中八九死んだ。ドッピオは救出済み。これ以上ここにいても」
「ぐっ・・・・・・だからって人が危険な目に遭うかもしれないのを黙ってみてろって言うんですかッ!? それにまだ妹の方も死んだとは――――ッ!!」
苦しそうに反論するジョルノ。だが妹紅は冷めた目でジョルノを睨み付けた。ジョルノの背中に何か、寒気のような物が走る。
「――――お前が元の世界でどれほどの善人だったかは知らないがここは幻想郷だ。いいか、幻想郷は巨大勢力同士の抑止力でバランスが保たれている。『永遠亭』も『紅魔館』も規模は小さいが立派な勢力の一つだ。曲がりなりにも『永遠亭』に所属しているお前がこれ以上『紅魔館』だけの件に首を突っ込むのはここじゃ御法度、迷惑なんだよ」
「・・・・・・っ!」
妹紅がここまでジョルノを引き留めようとするのはかつて無かった。つまり、これ以上紅魔館側に関わるのは今までのと比べものにならないほどのことである。
「幻想郷にいる限り、ここのルールに従え。――――言ってみりゃこの騒動は十六夜咲夜とドッピオの人質交換みたいなものだった。かなり話が拗れてしまったが、この透明のゾンビたちは明らかに別件。私たちはただ『巻き込まれただけ』だ」
ジョルノは特に言い返す言葉はなかった。幻想郷は広そうに見えてかなり狭い世界だ。妹紅の言うことは筋が通っている。
「・・・・・・わ、分かりましたよ・・・・・・! だから、離してください」
ついにジョルノは折れた。美鈴の無事は気がかりだが、そもそもここには三人の怪我人がいる。この人たちを置いて行けるわけがない。
「・・・・・・ちッ。いや、悪かったよジョルノ・・・・・・。少し、言い過ぎた」
妹紅は首を振ってジョルノを下ろす。
「・・・・・・」
ふと空を見ると星空が白み始めていた。霧の湖から霧が立ち上っているのが分かる。既に時刻は午前4時を指していた。
とりあえず二人は美鈴を待つことにした。もし美鈴がレミリアと来てもこちらには十六
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