紅の十字架 そのD
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ボスとジョルノの幻想訪問記 第28話
紅の十字架D
紅魔館の開かれた厨房の扉から流れてきている血は廊下を広範囲に渡って濡らしていた。さらに、それだけではない。三人が見つめる先・・・・・・、厨房の扉付近からザブザブ・・・・・・と何かが歩き出てくるような水音がする。そこには目に見える限りでは何もいないはずだが。
「・・・・・・見てください。音のする・・・・・・あそこです。不自然に水面に『穴』が空いてないですか? 二つ、ポツポツと」
ジョルノが指さす先には血の水面に不自然な窪みがあった。そしてそれはザブザブという音と共に移動している。つまり、『透明の敵』があそこにいるということだ。
「・・・・・・ドアが開いてるってことは・・・・・・美鈴、やっぱりあの中には」
「妹紅さんの察しているとおりです・・・・・・。あそこには大量の妖精メイドがいたはずですが、おそらくもう・・・・・・」
その言葉の先は眼前に広がる『血の海』によって明らかだった。妹紅は黙ってはいるがかなり怒りの表情を表に出していた。妖精といえど、こんな風に命を弄ぶ奴は絶対に許せない、と。
「・・・・・・ジョルノ、私の行動を止めてくれるなよ」
「・・・・・・? 何をする気ですか・・・・・・」
すっ、と美鈴とジョルノの前に進み出た妹紅はジョルノにそう告げて。
「言ったらお前止めるだろッ!! 『スパイスガール』ッッ!!」
スタンド、『スパイスガール』を出して一気に階段をかけ降りた。ご丁寧に、いつの間にか背負っていたパチュリーを二人の元に置いて。
「ちょ、妹紅さん! 一人で突っ込むのはマズイ!!」
「そうですッ! あなたは良くても僕ら二人だけで怪我人を三人も守りながら移動するのは難しいッ!!」
あぁ、ジョルノさんの突っ込みどころはそこなのね。と美鈴は少し思った。
「どっせぇーーいッ!!」
「コノドカスガァァァーーーーーーーーッッ!!」
妹紅の炎気を込めたキック、通称ブレイズキックと『スパイスガール』の強烈なラッシュがジョルノの示していた透明の敵にヒットした。確かな手応えを感じて、敵はもう倒れただろうと判断し妹紅は厨房の中を見た。
「・・・・・・」
その様子を上階から見ていたジョルノたちは妹紅が急に黙ったのを不審に思う。
「・・・・・・どうしたんですか、妹紅」
ジョルノがそう問いかけるも、妹紅の耳には届いていないようだった。厨房の中を凝視している。
「妹紅さん! 何かいるんですか!?」
美鈴もジョルノに続いて聞いた。すると今度は答えが返ってきた。
「・・・・・・何かも何も・・・・・・何もないんだけど」
いや、そんなはずはない。こう思ったのは妹紅
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